全国で61・3万人。40~64歳の中高年ひきこもりの広がりが内閣府の推計調査で初めて明らかになった。老いていく親とひきこもる子の孤立と困窮。80代の親と50代の未婚の子の世帯の困難という意味で「8050(はちまるごーまる)問題」とも呼ばれる。どう支援していくのか、新たな社会の課題となっている。 息子53歳・一生の稼ぎが300万円 「今年も忘れずに、八十路(やそじ)・五十路(いそじ)の庭に春を届けてくれて、ありがとう」 愛知県の男性(83)は3月、庭に咲いた梅の花の写真とともに、そんな言葉をSNSに投稿した。 長期ひきこもりの息子は53歳。カーテンを閉め切った自室で母親が準備した食事をとる。もう30年ぐらい両親と食卓を囲んだことはない。近所の目がある日中の外出はしない。買い物は夜間に遠方のコンビニまで車ででかけていく。 男性は、大手メーカーで部長を務め、高度成長を担った「猛烈社員」だった。「