与謝野経済財政担当相が、公的年金の支給年齢引き上げに言及した。〈 人生90年を前提に定年延長も考えなければならない。それにより年金支給年齢の引き上げも考えられる 〉(『日本経済新聞』1月22日朝刊) 与謝野氏は、菅直人首相が三顧の礼を持って引き抜いた「敵軍の軍師」だ。自らの立場を意識しているためか、あるいは単に思ったことは黙っていられないご性格なのか、大臣就任以来、与謝野氏は、あたかも総理のように、重要政策について語り始めている。菅首相は、今のところこれを野放しにしている。 しかし、年金支給年齢の引き上げを今の段階で語るのは、かなり危険な発言だ。フランスなどの例を見ても、年金は、世論の反発を買って社会が不安定化し、政権が一つふっ飛びかねない重大テーマである。思い起こすと、景気が悪化した中での前回総選挙だったが、世論調査では国民の要望は、景気対策よりも年金問題の解決だった。 いずれにせよ、支