10月30日に発表される日銀「展望レポート」の内容で、債券市場が最も注目しているのは、今回新たに発表される2011年度についての消費者物価指数(CPI)コアの政策委員大勢見通し(中央値)がどのくらいの幅でマイナスになるか、という点だろう。プラスではなくマイナスの数字になるだろうということは、多くの市場参加者がすでに念頭に置いているように思われる。 ここでは、金融政策をつかさどる日銀が置かれている立場から、物事を考えてみよう。 仮に、CPIコアのマイナス幅が先の年度にかけて拡大一辺倒で推移していくような見通し数値の並びになっていると、「日銀はデフレを放置するつもりなのか?」といった批判の声を招きかねない。足元の状況は悪いとしても先行きは(=いずれは)景気が改善していくだろうという、各国政策当局が前提にするのが常であるシナリオの大枠と、そこから導き出される需給ギャップ縮小、物価下押し圧力減退と