食品添加物トレハロースが感染症流行の深刻な原因となっている、とする話題が先月、騒がれました。根拠は、科学誌ネイチャーに載った論文。トレハロースが、クロストリジウム-ディフィシレ菌(Clostridium difficile)の強毒化につながっている、とする仮説を提唱する内容で、米国の科学者が執筆しています。 トレハロースは糖類の一種で、でんぷんの老化防止やたんぱく質の変性防止など、食品の物性改善に働き、日本では和菓子や洋菓子、パン、惣菜等に広く用いられています。とても身近な食品添加物です。それだけに論文への関心は高く、「トレハロースは本当に安全か?」「致死性の感染症の急増原因」などの見出しが夕刊紙やウェブメディアで躍りました。海外でも報道されました。 しかし、論文にはかなり大きな問題があり、私が見る限り、感染症の原因と言えるような根拠は、崩れ去っています。トレハロースを開発した (株)林原
公文書の情報公開制度を利用して、福島県に「微生物資材(EM等)の河川等への投入について」及び、上記文書の作成以降の微生物資材に係る問い合わせ関係文書の開示を請求し、一部(個人情報等の部分)を除いた「公文書一部開示決定」により、45件の文書が開示されました。 福島県は、平成20(2008)年4月8日に、「微生物資材(EM等)の河川等への投入について」という文書を作り、基本方針を定めています。それ以降、この方針に基づいて対応されてきました。 入手した「微生物資材に係る問い合わせ関係文書」の中に、EM関係団体からのクレーム対応事例が2件見つかりましたので、参考として紹介します。 ①来庁者対応記録 平成26年1月23日 ・大学のベンチャービジネスを支援する事業者 1名 ・地球環境・共生ネットワーク 1名 担当部署違いとして、お引き取り願われた様です。 ②電話受信記録 平成26年1月23日 上記EM
ネットニュースで「京大iPS研で論文不正 山中伸弥所長が謝罪」という標題の記事を目にして、急いで記事を読み、論文を調べた。 産経新聞には「所長を辞職するか報道陣に聞かれ、『その可能性も含め、どういう形が一番良いのか、しっかり検討したい』と話した」とあった。山中先生は、この問題となった論文の著者ではない。研究所長として管理責任はあるとしても、大学の組織上、研究所長がそれぞれの研究室が発表する論文の内容に立ち入ることは、普通はない。論文に関しては、筆頭著者を含め、全著者が責任を取るべきである。 大きな研究所のトップは、自分自身の研究室の研究内容について全責任を負うのは当然だが、他者の研究室の内容・運営に口出しする事はない。研究の内容・指導・予算管理は研究室単位で独立して管理される。常識的に考えても、研究所長が多くの研究室の細かい生のデータまですべて目を通すことなど不可能だ。山中先生は日本の宝で
大石雅寿(手洗い&うがいで風邪知らず) @mo0210 日本でニセ科学が跋扈する背景として、業績にならないとして科学者が批判しないこと・関わろうとしないこと、が挙げられている。その通りだと思う。怪しい言説を科学的に批判することは科学者の社会的責務です。 2016-01-02 22:53:04 エビ(モデルナ💉 Modernization 💉) @ebi_j9 先のRTの「科学者が批判しないこと・関わろうとしないこと」 個人的には別の可能性も考えている。 「科学者・専門家はニセ科学の存在に気がついてない」 結構意識しないと、ニセ科学のことって目に入らないと思うんだよなぁ。 2016-01-02 23:17:00 UFO教授 (藤木文彦 Fumihiko Fujiki) @UFOprofessor @ebi_j9 @sayakatake 話の流れが分からないので、既出かピンぼけかも知れませ
2013年4月に定期接種となり同年6月には事実上の定期接種停止状態となっていた子宮頸がんワクチンの副反応問題。名古屋市は、市内に住む若い女性約7万人を対象にワクチンの接種群と非接種群におけるワクチンの副反応が疑われる症状の発症状況についての調査を行い、12月14日に結果(速報)を発表した。回答率は43.4%、回答者のうち接種者の割合は69.47%。 年齢で補正した調査結果は、月経不順、関節や体の痛み、光過敏、簡単な計算ができない、簡単な漢字が書けない、身体が自分の意志に反して動くなど、メディアでも繰り返し報道されてきた子宮頸がんワクチンとの因果関係を疑うとされる24の症状について、「接種群に多く発生しているわけではなく、むしろ15症状で少ない」というものだった。 9月の朝日新聞の報道によると市内の接種者は約4万2000人。これを基に計算すると接種者のアンケート回答率は約5割で、非接種者の回
どんなコラム? 職業は科学ライターだけど、毎日お買い物をし、家族の食事を作る生活者、消費者でもあります。多角的な視点で食の課題に迫ります プロフィール 京都大学大学院農学研究科修士課程修了後、新聞記者勤務10年を経て2000年からフリーランスの科学ライターとして活動 吉野家が9日、牛丼の具の長期摂取調査に関するプレスリリースを出して以降、いろいろなメディアがその内容を報じています。たとえば、朝日新聞は「牛丼、3カ月食べ続けたら… 吉野家が研究結果を公表」と書き、フジテレビも「牛丼を3カ月食べ続けても健康リスク増加の兆しなし 吉野家HD」と伝えました。 これらの報道、二重に間違っている、と勝手ながら私は思います。一つは、「牛丼」を12週間(3カ月)食べ続けたのではなく「牛丼の具」だということ。もう一つは、吉野家のプレスリリースを読む限り、これはまともな研究とは言えず、そもそも報じる価値がない
STAP細胞の有無を調べている理化学研究所の検証実験で、小保方晴子氏自身の実験でも同細胞はできなかったことが18日、分かった。自らの手でも証明できなかった小保方氏について、代理人弁護士は「現在もSTAP細胞があると考えていると思う」と述べた。理研は来年3月まで予定した検証実験を打ち切り、存在を事実上否定。19日、記者会見を行う。 【写真】1月、STAP細胞について発表する小保方晴子氏 小保方氏が4月9日の会見で「STAP細胞はあります!私自身、200回以上作製に成功した」と豪語してから253日。「生き別れた息子を捜しに行く」と執念を燃やした同細胞の再現は、失敗に終わった。 小保方氏の作製した細胞で理研のチームが約1600回実験したが、万能性を一度も確かめられなかった。 代理人の三木秀夫弁護士はこの日、大阪市内で「小保方氏は現在もSTAP細胞があると考えていると思う」との趣旨の考えを述
五味馨 @keigomi29 この評価はおかしい。本当に大事なのかこうやって調べるまで分からなかった。意外な結果を出すのがよい研究ならばこの研究PJは事実を曲げなければいけない。//松本人志 膨大な時間と費用をかけたハーバード大学の研究結果に呆れ #ldnews news.livedoor.com/article/detail… 2014-09-16 20:37:48 五味馨 @keigomi29 さらに、この記事の書き方はIQや生活習慣が重要、という仮説に好意的に見える。それよりも人間関係が重要だというのはそんなに「当たり前」のことではないと記事自ら示している。 //松本人志 膨大な時間と費用をかけたハーバ news.livedoor.com/article/detail… 2014-09-16 20:43:04 五味馨 @keigomi29 「男性の将来性には人間関係がIQや生活習慣よ
Tweet 1月末に発表されたSTAP細胞は、再生医療につながる可能性があるとして、大いに注目を集めました(STAP細胞の何がスゴイとされたのかは、発表の翌日に科学コミュニケーターの志水が書いた記事をご覧ください)。 残念ながらこの論文は、捏造や改ざんと判定された箇所があり、また、それ以外にもたくさんの過誤があって、すでに撤回されています。 これまでのところ、STAP細胞が存在したという証拠はありません。 とはいえ、STAP細胞に対する期待は今も大きいようです。 1月末の発表の直後には、生物学への貢献や再生医療への応用だけでなく「夢の若返りが可能になるかもしれない」などとも語られました。もし仮にSTAP細胞が本当に実在したとしたら、その夢はいつごろ、実現するのでしょう? あの論文に書かれた通りのSTAP細胞が存在すると仮定しましょう(繰り返しますが、7月15日時点でSTAP細胞の存在を示す
「ニセ科学を見抜くための大まかな指針(A Rough Guide to Spotting Bad Science)」の日本語版を作ります。ご協力お願いします! に予想以上のご意見、アドバイスをいただき、訳文を作成しました!皆様、ありがとうございました! 「ダメな科学」を見分けるためのおおまかな指針 1.扇情的な見出し 記事の見出しは往々にして、読者に「クリックしたい」「読みたい」と思わせるように作られています。研究結果が単純化されすぎているのはまだマシな方で、ひどい場合には、内容が誇張されていたり、歪められていたりします。 2.結果の曲解 意図的かどうかはともかく、ニュース記事では、「よくできた話」にするために、研究結果をねじ曲げたり、曲解したりしていることがあります。記事を鵜呑みにせず、できれば、研究内容の原典を読んでみましょう。 3. 利益相反 多くの企業が、研究や論文発表のために科学
デザイン志向のサイエンスコミュニケーション――科学と社会を対話で繋げるSYNAPSE Lab.とは? SYNAPSE Lab.インタビュー 科学 #サイエンスコミュニケーション#SYNAPSE Project#シナプス#菅野康太#飯島和樹 研究者を中心に、社会、環境、アート、デザイン、建築、メディアなど専門分野の枠組みを越え、イベントの開催やフリーペーパーの発行などを行っているSYNPASE Lab.。研究者、編集者、デザイナーが対等な立場となり、音楽家や建築家、フードデザイナーなど様々な他領域と融け合いながら、一方的に答えを押し付けるのではない科学の営みを伝えるSYNAPSE projectについて、メンバーであり研究者の飯島和樹さん、菅野康太さん、編集・ライターの塚田有那さんにお話をうかがった。(聞き手・構成/金子昂) ※本インタビューをきっかけに、SYNAPSE Lab.とコラボレー
HIVは無害でエイズの原因ではなく、治療に用いる抗レトロウィルス薬こそがエイズの原因で、政府、製薬会社、科学者がその有害な薬を売るためにエイズという伝染病を作りだした――そんな、科学的根拠が全くなく、完全に否定されているはずの説が世界中に広がりつつある。その、疑似科学と陰謀論とが融合した「HIV/エイズ否認主義」はなぜ広まっているのか、その発生要因と影響の分析、主要論者の紹介、そして彼らの説に対する科学の側からの反論をまとめた一冊である。 HIV/エイズ否認主義HIV/エイズ否認主義の主張の主な特徴は本書によると以下の通りだ。(P17) ・自分たちだけが「HIVは無害なウィルスで病気の原因とはなりえず、抗HIV薬は毒物で、エイズを引きおこすDNAのターミネーターに他ならない」という真実を知っていると考えている。 ・「巨大製薬産業と医学界が国立衛生研究所と生物医科学全般を堕落させてきた。」と
体細胞が刺激により万能細胞になるというSTAP細胞に関するネイチャー論文で、不正が見つかり、論文の執筆者である小保方晴子氏が糾弾されている問題について、福島民報がコラムを掲載した。 【小保方さんの騒ぎ】オヤジたちが情けない(4月16日) | 県内ニュース | 福島民報 STAP細胞をめぐる小保方晴子さんの騒動を見ていると、日本社会の重大な欠陥を見ているような気がして仕方がない。 たいそうな書き出しではじまるこの文章を要約すると「科学的なことは全く理解できないけど、一生懸命頑張ってる人を寄ってたかって叩いているオヤジどもが気に食わない。論文の不正がNGとかいう科学界のローカルルールはどうでもいい」というニュアンスだ。 ちなみに著者は元毎日新聞社主筆の菊池哲朗氏である。 この文章で一番のピークは以下の文章であろう。 要はSTAP細胞ができるかどうかだけである。科学論文として不正かどうかなど、ど
一般的な話題 STAP細胞問題から見えた市民と科学者の乖離ー後編 2014/3/22 一般的な話題, 化学者のつぶやき, 論文 投稿者: ペリプラノン 前回のポストでも指摘したように科学で最も重要視されるのは論文です。 学会発表は妙な内容でも可能で、物理学会では珍妙な自説を展開する怪しい人(?)たちのセッションが用意されてると聞いたことがあります。 書籍は自由になんでも創作することができますし、特許も新規性が重視され、科学的な正しさの裏付けは不十分なことがあります。 では学術論文はその他と何が違うのでしょうか?それは科学者たちが脈々と受け継いできた科学の正しさを担保する制度作りにありました。ここで学術論文がどのようにして世に出て、どうなっていくのかをあらためて解説したいと思います。論文の仕組みを理解していただくとSTAP細胞問題のどこが問題なのかがすんなりとおわかりいただけると思います。
4月11 STAP細胞の「不正」とは何だったのか STAP細胞の騒動が世間を揺るがせています。特に4月9日、小保方晴子氏が久方ぶりに姿を表し、記者会見を行ったことで、騒ぎは最高潮に達した感があります。 本ブログではこの件に関し、今まで何も触れてきませんでした。専門外でもありますし、あまりよい話題でもないですし、筆者は他人の不正をあれこれ論評できるような偉い人間でもありません。 ただ、9日の会見を見て、「小保方氏の発言に納得した」「彼女の言うことを信じた」という人が多数派であったのには驚きました。ネットでのアンケートでもそうですし(※)、テレビ番組での調べでも、6〜7割の人が小保方氏を支持するとの結果が出ていました。これはずいぶんとずれが生じているかなと感じたので、思い切ってこの件について書いてみます。 (※)4月12日現在では投票結果が逆転し、「納得できなかった」が多数派となっているようで
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