情報技術革新がもたらすマイナスの影響を最小限に抑え,プラスのインパクトを最大限に活用すべく,中小企業も何らかの行動を起こす必要があるが,それは必ずしも今すぐに多額の情報システム関連投資を行う必要性を意味しない。逆に,安易な情報システム関連投資に陥ることなく,現時点での自社のレベルや取り巻く環境を見据えつつ,今後の動向をも見越した,冷静かつ計画性のある対応こそが必要である。 (1) 目的が明確でないままに情報技術を導入することのマイナス 情報技術革新を受けて,企業の情報システム関連投資に対する意欲は一般に高いと思われるが,中小企業では情報システム関連投資を全く行っていない企業が1割強存在しているのを始め,全体としては大企業に比べて情報システム関連投資に積極的であるとは言えない(第111-7図(1))。しかし,同じ中小企業でも,若い企業(創業時期の新しい企業)では設備投資の半分以上を情