平安時代の9世紀後半に和歌「難波津(なにわづ)の歌」の全文を墨書した木簡が京都市中京区の平安京跡から初めて出土し26日、京都市埋蔵文化財研究所が発表した。平仮名の完成形に近い字も多く確認され、平仮名成立の解明にもつながる貴重な史料になるという。 木簡は長さ34・5センチ、幅3・5センチ、厚さ4ミリのヒノキ製。9世紀後半の国内最古級の平仮名が書かれた土器が出土した右大臣、藤原良相(よしみ)邸近くの邸宅跡から出土した。同時に出土した土器から、木簡は良相邸の土器より30年ほど新しいものとみられる。 「左久也己能波奈(さくやこのはな)」の文字から、5世紀に百済(くだら)から論語などを伝えたとされる王仁(わに)が、仁徳天皇の治世の繁栄を願って詠んだとされる「難波津の歌」(難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花)と判明。「も」や「ふ」など現在の平仮名に近い文字も確認された。歌の左行には、注