どこか歪んだ小説ばかり好んで手にするのは、わたしが傾いでいるから。だから、こういう「王道」を読むと、わたしの歪み具合が浮き彫りにされて興味深い。 「光と闇の戦い」というと陳腐かもしれないが、初版は30年前。今以上に言葉が力を得ていた時代だ。スレてないときに読んだなら、ハートを掴まれるに違いない。児童書なので、エロなし/伏線ミエミエという反面、ずばりストレートな面白さを堪能した。ストーリーはこんなカンジ―― ―― 11歳の誕生日に「古老」としての不思議な力に目覚めたウィルは「光」と「闇」の戦いに巻き込まれていく。アーサー王伝説を下敷きに、「光」の使者となったウィルが、仲間たちとともに「闇」の脅威と戦う ―― 日常生活と異世界との交錯が面白い。「魔法」をどうやって体現させるか? 例えば、「ベルガリアード物語」や「ザンス」のように異世界をつくりあげてしまえば解決できる。しかし本書では、「目覚める