福島県南相馬市からの報告を続けよう。福島第一原発から20キロ、30キロの線で市域が3つに分断されてしまった街である。 「地震・津波」と「原発災害」の2つの被災地(死者・行方不明者は福島県で最多)であるこの街を訪れるにあたって、聞いておきたいことがあった。東京その他の全国で流れているマスコミの報道について、地元の人たちがどう思っているかである。そして、「東京」を筆頭とする他の地域の人々が「被災地」「被災者」に向ける視線についてどう思うか、である。 私がびっくりしたのは、南相馬市の市役所を取材に訪れた時だ。取材が終わり、担当の男性職員と軽い雑談になったときだ。 「NHKも朝日新聞も(南相馬市から)撤退してしまった。こないだ朝日はファクスで取材の問い合わせ来てたよね? あれどこだった?(福島市の電話番号だと同僚が言う)ほら、福島市ですよ。福島市から電話とファクスで取材してくるんだよなあ」 福島市