「苦海浄土」の直筆原稿(右)と、水俣病の原因企業チッソと患者の間で1973年に結ばれた補償協定書(左)。いずれも一部が黄色く変色している=熊本県水俣市袋の水俣病センター相思社、稲野写す 作家、石牟礼道子さんの代表作「苦海浄土――わが水俣病」の直筆原稿など、熊本県水俣市の財団法人・水俣病センター相思社に保存されている水俣病の貴重な記録や資料が、展示や保存の環境が悪いため、変色するなど危機にひんしている。 相思社は1974年、水俣病患者の支援拠点として患者や支援者が設立した。以降、患者や支援者のほか、作家や写真家、弁護士らが資料を寄贈し、水俣病関連資料の充実ぶりでは国内屈指という。新聞や裁判資料など文書10万点や写真数万点があり、一部は敷地内にある水俣病歴史考証館に展示されている。 だが、保存状態は悪い。考証館は、患者の作業場として建てた簡易鉄骨造りのきのこ栽培施設を88年に改修したもの