東京五輪の開会予定日である7月23日まで2カ月を切った。新型コロナウイルスのまん延は収まらず、10都道府県が緊急事態宣言下にある。医療提供体制は逼迫(ひっぱく)し、経済の停滞で多くの人々の暮らしが困窮している。昨年3月に開催延期を決めた時より状況が悪化しているのは誰の目にも明らかだ。 それでも政府は予定通り「安心安全」に五輪を実施するという。ならば、どうやってそれを実現するのか、説明してほしい、と私たちは訴え続けてきた。だが、菅義偉首相をはじめとする政府の言葉はあまりに乏しい。 実際は、ワクチン頼みで、国民を納得させる手だてなどないのではないか、具体的な対策を示さず、引き返せなくなるまでなし崩しに推し進めていくつもりではないか。そんな疑念も拭えない。 これでは、各種の世論調査が示す通り、東京五輪・パラリンピックの開催に多くの賛同は広がるまい。国民の理解と協力が得られないのであれば、開催中止