映画鑑賞やスポーツ観戦など、制約ある条件の下、強い体験を与えるものがある一方、 断片化された小さな時間に貴重な体験が宿ることがある。 『メディア・メーカーズ』の提起を起点に、 現代のコンテンツ体験の意味を改めて考える。 2012年、メディア業界の収穫のひとつに、田端信太郎氏『メディア・メーカーズ』があります。 多くの刺激的な論点を示した書物ですが、その中に印象的な箇所があります。 コンテンツ分類の視点として、「リニア←→ノンリニア」という軸を提示したところです。 リニアなコンテンツとは、初めから終わりまで一直線に連続した形でみてもらえることを想定したコンテンツのことになります。 最も「リニア」なコンテンツ形態の典型が映画です。映画はこれ以上は考えられない! というくらいに「リニア」志向に振り切られたコンテンツの形態です。…… 映画監督は、お客さんを映画館の中に連れ込んでしまえば