なんとか刊行の期限に間に合って、やっと本が完成、製本所から無事見本が届く。 クラフト紙を破って、できたてほやほやの本を手に取る。 ページを開くと……、なぜか赤と緑の2色で文字が印刷されている! 図版もほとんどないような文学の研究書なのに! 印刷後に刷り出しもきちんと確認したはずなのに! しかも、なんでこんな目がチカチカするようなアバンギャルドな色合いなんだ。 やばい……、500ページの上製本が全部作り直しだ…… ガバッと起きると額には脂汗。午前3時。夢でよかった…… とんでもない本ができちゃったとか、誤植で冷や汗とか、そんな類の夢を出版関係者なら一度や二度は見たことがあるのではないでしょうか。もうこの仕事を始めて20年にもなろうというのに、こんな夢をときどき見ます。 以下は夢ではなくて実話。 ある若手研究者の初めての単著で、ありがたいことに学会の奨励賞をいただいて、その授賞式でのこと。 担