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ブックマーク / tmaita77.blogspot.com (22)

  • 図書館司書の非正規化

    雇用の非正規化が進んでいますが,官の世界,教育の領域もそれを免れてはいません。蓋を開けてみると,民間よりも酷いくらいです。 教育は学校教育と社会教育に分かれますが,とりわけ後者を担う人材の非正規化は凄まじい。全国のどの自治体にもある,代表的な社会教育施設は図書館ですが,そこには司書という職員が置かれます。図書館法で定められた資格を要する,れっきとした専門職です。 近年,司書の非正規化はものすごい勢いで進んでいます。ツイッターで,司書の非正規率マップの変化を発信したところ,かなり注目を集めています。肌感覚が数値化された,という思いなのでしょう。 いろいろリプもついていますが,指定管理図書館の司書も加えたほうが正確だ,というご意見をいただきました。なるほど,そういう図書館が増えていますよね。公共施設の管理・運営を民間業者に委託できる,という制度です。 https://twitter.com/d

    図書館司書の非正規化
  • 大学の定員充足率の分布(2014年)

    毎年行われている大規模調査ですが,今年は660大学から回答があったそうです。『学校基調査』から分かる,今年5月時点の全国の大学数は781校ですから,母集団の84.5%がカバーされていることになります。 調査項目も年々充実してきており,今年は,入試方法別の退学率までが大学別に掲載されています。一般入試で入った者の退学率はどれほどか,AO経由の入学者はどうか,というデータです。いやはやスゴイ。こういう貴重な調査を毎年実施している,読売新聞社の労には頭が下がります。

    大学の定員充足率の分布(2014年)
  • 職業別の生涯未婚率

    生涯未婚率という指標をご存知でしょうか。読んで字のごとく,生涯,未婚の状態にとどまる者がどれほどいるかです。 これは,全人口の人生を死ぬまで追跡して出すような,込みいったものではありません。生涯未婚率としては,50歳時点の未婚率が用いられます。この年齢以降は,結婚する者はほとんどいないであろう,という仮定に立つわけです。 なお,多くの官庁資料の年齢統計は5歳刻みのものですが,5歳刻みの統計から生涯未婚率を出す場合,40代後半と50代前半の未婚率を平均するという便法がとられます。 私は,この方式に依拠して,男女の生涯未婚率を職業別に計算してみました。こういうデータは見かけないので,興味を持った次第です。正規・非正規の影響を除くため,正規職員男女の率を出すこととします。資料は,2012年の総務省『就業構造基調査』です。 http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2

    職業別の生涯未婚率
  • 国立大学定年退職教員の再就職

    ► 2024 (1) ► 1月 (1) ► 2023 (3) ► 12月 (1) ► 11月 (1) ► 7月 (1) ► 2022 (8) ► 12月 (1) ► 9月 (1) ► 8月 (1) ► 6月 (1) ► 4月 (1) ► 3月 (1) ► 2月 (1) ► 1月 (1) ► 2021 (36) ► 12月 (3) ► 11月 (2) ► 10月 (1) ► 9月 (3) ► 7月 (4) ► 6月 (1) ► 5月 (4) ► 4月 (4) ► 3月 (5) ► 2月 (3) ► 1月 (6) ► 2020 (90) ► 12月 (11) ► 11月 (7) ► 10月 (6) ► 9月 (7) ► 8月 (5) ► 7月 (4) ► 6月 (5) ► 5月 (9) ► 4月 (10) ► 3月 (11) ► 2月 (7) ► 1月 (8) ► 2019 (111) ► 1

    国立大学定年退職教員の再就職
  • 図書館職員の非正規化

    私は公共図書館をよく使いますが,職員さんの名札に「臨時」という文字を見かけることが多くなったように思います。また,ちょっと専門的な調べ事の相談を持ちかけた際,「専任の人が今日は休みなので・・・」と困惑されたことがあります。 「非正規化」とは,今の日の企業社会を風刺するキーワードですが,公の世界も例外ではありますまい。「官製ワーキングプア」という言葉だってあります。今回は,自分が日頃お世話になっている図書館職員さんの生態をちょっと解剖してみようと思います。 社会教育施設である図書館の基統計は,文科省の『社会教育調査』に載っています。公共図書館の職員数は,1990年では16,331人であったのが,2011年では32,402人にまで増えています(指定管理者職員は除く)。ほぼ倍増です。図書館業務の拡張によるものでしょう。 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/

    図書館職員の非正規化
  • 新卒ニート

    3月16日の財経新聞Web版に「新卒ニート3万人」と題する記事が載っています。文科省『学校基調査』に掲載されている,大学卒業者の進路カテゴリーが詳しくなったことから,この手の人間の数を明らかにすることが可能です。 http://www.zaikei.co.jp/article/20130316/127095.html 『学校基調査(高等教育機関編)』では,卒業者の進路カテゴリーとして,8つが設けられています。2012年3月の大卒者55万8,692人の内訳は以下のようになっています。 ①:進学者 ・・・ 65,683人 ②:正規就職 ・・・ 335,048人 ③:非正規就職 ・・・ 21,963人 ④:臨床研修医 ・・・ 8,893人 ⑤:専修学校等 ・・・ 11,173人 ⑥:一時的な仕事 ・・・ 19,569人 ⑦:その他 ・・・ 86,566人 (=進学準備3,613人+就職準備4

    新卒ニート
  • 都道府県別の教員の病気離職率

    文科省『学校教員統計』の教員異動調査では,調査実施年の前年度間に離職した教員の数が計上されています。最新の2010年調査では,前年の2009年度間の離職教員数が明らかにされているわけです。 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kyouin/1268573.htm 教員が教壇を去る理由はさまざまでしょうが,統計上は,以下の9つの理由カテゴリーが用意されています。数字は,2009年度間に当該の理由で離職した幼・小・中・高の教員数です。 ①:定年 ・・・ 21,023人 ②:病気(精神疾患) ・・・ 909人 ③:病気(精神疾患以外) ・・・ 869人 ④:死亡 ・・・ 601人 ⑤:転職 ・・・ 5,916人 ⑥:大学等入学 ・・・ 198人 ⑦:家庭の事情 ・・・ 6,799人 ⑧:職務上の問題 ・・・ 472人 ⑨:その他 ・・・ 10

    都道府県別の教員の病気離職率
    ivory_rene
    ivory_rene 2013/01/26
    病気と言わずとも病気離職していたり、休暇とっていたり、はあるだろうし。
  • 学部・修士・博士卒の不安定進路比重比較

    昨年の12月22日の記事では,大学院博士課程修了生の不安定進路比重を明らかにしたのですが,この記事をみてくださる方が多いようです。 しかるに,最近増えているとはいえ,博士課程まで進む人間は絶対量としては多くありません。同世代の半分が入学する大学学部や,近年になって大衆化の度合いを急速に強めている修士課程の卒業後進路はどうか,という関心をお持ちの方が多いと存じます。 私は,学部卒業生と修士課程修了生についても,同じ統計をつくってみました。今回は,それをご覧に入れましょう。どの段階まで進もうかと考えておられる方の参考になればと思います。 資料は,昨年の末に確定値が公表された,2012年度の文科省『学校基調査』です。これによると,同年3月の大学学部卒業生は558,692人,修士課程修了生は78,711人,そして博士課程修了生(満期退学含む)は16,260人なり。 http://www.mext

    学部・修士・博士卒の不安定進路比重比較
  • 15歳生徒のHP・ブログ利用の国際比較

    12月18日より,ツイッターを始めました。ブログは研究ノートですが,ツイッターは,ネット上の興味ある情報の収集や,日記として使いたいと思っています。 情報化社会では,この手の情報発信ツールを使いこなすことも重要となってきます。私はオジサンですが,日の子どもたちは,こうしたツールをどれほど利用しているのでしょうか。一応,各種の実態調査がなされているようですが,どれをみても「ふーん」という感じです。比較という視点がなく,報告された数値の性格を知ることが難しいためです。 ここでは国際比較によって,日の15歳生徒の実態を評価してみようと思います。用いるのは,PISA2009の生徒質問紙調査の結果です。 ICT関連の質問紙のQ4では,「個人のホームページやブログを公開し管理するために,自宅でコンピュータをどれくらい利用しているか」と尋ねています。対象は,義務教育を終えた15歳の生徒です。日の場

    15歳生徒のHP・ブログ利用の国際比較
  • 教員の離職率③

    近年,小学校教員の離職率が伸びているのですが,とくに,若年教員において,その傾向が強いようです。今回は,20~30代の若年教員の離職率が高いのは,どういう地域かを明らかにしようと思います。 私は,2006年度間における,20~30代の小学校教員の離職率を,都道府県別に明らかにしました。ここでいう離職率とは,2006年度間における理由不詳(「その他」)の離職者数を,2007年10月1日時点の教員数で除したものです。統計の出所は,文科省『学校教員統計調査』です。 なお,分母の教員数は公立学校のものであることを申し添えます。各県の年齢別の教員数は,公立学校のものしか掲載されていませんでした。小学校の場合,国私立学校はとても少ないので,このような便法をとっても大勢に影響はないと思われます。 東京都の場合,分子の離職者数は136人,分母の教員数は11,286人ですから,離職率は12.1‰と算出されま

    教員の離職率③
  • 教員の転職・就業休止希望率

    私は,2009年度から10年度まで,武蔵野大学現代社会学部で卒業論文ゼミを担当しました。総勢36名の学生さんを送り出しましたが,みなさん,どうしているのやら。 中には,メールで近況を知らせてくれる人もいます。「結婚しました」というような吉報もあれば,そうでないものもあり,数としては,後者のほうが多いように思います。その多くが,今の仕事を「ヤメタイ」というものです。 詳しい事情をここで紹介することはできませんが,職場不適応を起こしている人が多いな,という印象です。もしかすると,私のパーソナル・インフルエンスが遠因として作用しているのかもしれませんが・・・。 さて,学校の教員の場合,どれほどが「ヤメタイ」と思っているのでしょうか。朝日新聞教育取材チームの『いま,先生は』岩波書店(2011年)を引くまでもなく,現在,学校のセンセイは大変です。教員の危機の量を測る指標として,ブログでは,離職率や

    教員の転職・就業休止希望率
  • 教員のバイト化

    10月13日の朝日新聞Web版に,「私立高教員37%が非正規,生徒減り経営難,人件費抑制」と題する記事が載っています。詳細な内容は,タイトルをみればピンとくるかと思います。 http://www.asahi.com/job/news/TKY201210120696.html 上記の記事でいう「非正規」教員とは,講師職の教員のことです。講師とは,「教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する」職のことで(学校教育法第37条),常勤講師と非常勤講師の2種類に分かれます。前者はフルタイム勤務で,産休・育休代替講師等が多くを占めます。後者は,数時間の授業をするためだけに雇われている,いわゆる時間講師です。 朝日新聞の記事では,両者の合算をもって非正規教員としているようですが,私としては,後者の時間講師に限定したほうがよいのではないか,と思います。産休・育休をとる教員や病気で休職する教員が増えているなか,常

    教員のバイト化
  • 生徒のICT利用の国際比較

    ICTという略語をご存知でしょうか。Information and Communication Technologyの略で,コンピュータや情報通信ネットワーク等からなる,情報コミュニケーション技術のことであると解されます。 教員採用試験の参考書を書いていて思うのですが,最近,教育政策文書の中に,この3字を目にすることが多くなりました。それもそのはず。社会の情報化が進む中,教育も情報化することが求められているのですから。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/main18_a2.htm 高等学校において,情報科が必修となったのは1999年の学習指導要領改訂時ですが,現在,ICTを活用する能力を生徒に獲得させることが求められているといえましょう。 しかるに,実際のところ,生徒がそういう能力を身につけるのは,学校の授業を通してではなく,日頃の生活

    生徒のICT利用の国際比較
  • 生徒のコンピュータスキルの国際比較

    前回は,わが国の高校生のICT利用度が国際的にみて著しく低いことを明らかにしました。ここでいうICT利用とは,自宅のコンピュータを使ったものであり,ケータイやスマホ等の小型機器を介したものは除かれます。 そうである以上,わが国の高校生のコンピュータスキルはどうなのか,という懸念が持たれます。前回と同様,PISA2009のデータを用いて,この点を吟味してみましょう。 PISA2009の生徒質問紙調査では,対象の15歳の生徒(日は高校1年生)に対し,「コンピュータで次のことがどれくらいできるか」と尋ねています。 情報化が進む現在,身につけておいて損はないスキルばかりです。いや,見方によっては,学生のうちに習得しておくべき必須のスキルであるともいえましょう。これらの5つの項目への反応を合成して,生徒のコンピュータスキルを測る尺度をつくってみます。 1という回答には4点,2には3点,3には2点,

    生徒のコンピュータスキルの国際比較
  • 学校で学んだことに対する評価の国際比較

    PISA2009の生徒質問紙調査のデータセットづくりを進めています。74か国,51万5,958人分のデータです。ケース数が膨大なので,設問ごとにファイルを分割しています。 PISA2009の質問紙調査では,対象生徒の家庭環境,学校観,教師観,読書嗜好,ICT利用状況など,興味深い事項を数多く尋ねています。これらの設問への回答結果を,自分の関心の赴くままに自由自在に分析できるわけです。 この恩恵は,3K資源(カネ,コネ,肩書)がある専門研究者だけではなく,万人にもたらされています。SASやSPSSといった高度な解析ソフトが必要というのでもありません。OECDの下記サイトからテキスト形式の圧縮データをDLし,それを展開してエクセルに取り込めば,データセットの完成です。ピボットテーブル機能を使うことで,単純集計やクロス集計程度のことは難なくこなせます。 http://pisa2009.acer.

    学校で学んだことに対する評価の国際比較
  • 国語の授業スタイルの国際比較(続)

    今日は肌寒い日となっています。いかがお過ごしでしょうか。 さて,9月29日の記事では,高校国語の授業スタイルの国際比較を手掛けたのですが,この記事をみてくださる方が多いようです。使った資料は,PISA2009の生徒質問紙調査のローデータです。下記サイトより,回答結果が入力された段階のローデータをDLできます。 http://pisa2009.acer.edu.au/downloads.php 上記記事では,以下の7項目への生徒の反応を合成して,彼らが受けている国語の授業の進歩性を計測する尺度(measure)を構成したのでした。ここでいう生徒とは,15歳の高校1年生です。 いずれも,考える力のような,生徒の諸能力を開発を目指す開発主義教授に関わる項目と読めます。したがって,これらを合成して一つの尺度を構成するというやり方は間違ってはいなかったと思います。その結果,わが国の「特異」すぎる位置

    国語の授業スタイルの国際比較(続)
  • 卒業生・修了生の惨状の段階比較

    8月30日の記事では,大学院博士課程修了生の惨状を紹介したのですが,この記事をみてくださる方が多いようです。ツイッターを拝見すると,「博士課程に行くのはやめようかな」という類のつぶやきが散見されます。 いたずらに危機感を煽るものではありませんが,生半可な考えで進学すると,悲惨な末路をたどるハメになる確率が高いことをお知りいただければと存じます。まあ,言わずもがなですが。 でも,修士課程までなら進んでもいいかな,とお思いの方はたくさんおられると思います。9月9日の記事でみたように,大学卒業者の約1割が修士課程に進学しているとみられます。理系の専攻では,修士課程への進学率はもっと高いことでしょう。 8月30日の記事では博士課程修了生,9月9日の記事では大学卒業生の進路(惨状)をみました。今回は,その中間に位置する修士課程修了生の状況にも目配りします。 ただ,先の2つの記事と同じことをベタに繰り

    卒業生・修了生の惨状の段階比較
  • 教員の授業スタイルの国際比較

    国際学力調査PISA2009のデータセットづくりに勤しんでいます。9月21日の記事で申したように,学校質問紙調査のデータセットは,何とか完成しました。しかし,生徒質問紙調査については,一筋縄ではいきません。ケース数が膨大であるからです。 下記のOECDサイトからダウンロードしたテキスト形式の圧縮データを,エクセルに取り込むことができません。しからば,必要な設問のデータだけを取り込めないかと,いろいろ悪戦苦闘した結果,ようやくその方法をマスターしました。現在,対象生徒の出身階層,学校観,教師観,および教師の授業スタイルの設問のデータセットを作り終えたところです。 http://pisa2009.acer.edu.au/downloads.php 74か国,51万5,958人分のデータです。とうてい一つのファイルに収まりきりませんので,いくつかに分割しています。ともあれ,このような膨大な数のデ

    教員の授業スタイルの国際比較
  • 博士課程修了者の大学教員就職率

    8月30日の記事でみたように,大学院博士課程修了生の中には無業や進路不明という状態になってしまう者が多いのですが,その一方で,修了(満期退学)と同時に,大学教員のポストをゲットできる幸運な輩もいます。 文科省の『学校基調査(高等教育機関編)』では,博士課程修了者の進路が明らかにされているのですが,そこにて,就職者がどのような職業に就いたのかも知ることができます。2011年度の資料によると,同年3月の修了生数(満期退学含む)は15,892人で,そのうち大学教員に就職した者は2,369人と報告されています。よって,この年の大学教員就職率は14.9%となります,7人に1人です。 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001037176&cycode=0 これは,有期の特任助教のような非正規採用も含む率です。まあ,こんなものかな,という

    博士課程修了者の大学教員就職率
  • 専攻別にみた博士課程修了生の惨状

    前回は,2012年3月の大学院博士課程修了生について,無業者率と死亡・進路不明率を計算しました。文科省の『学校基調査』では,博士課程修了後の進路として,以下のカテゴリーが設けられています。 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528 ①:進学 ②:正規就職 ③:非正規就職 ④:臨床研修医 ⑤:専修学校・外国の学校等入学 ⑥:一時的な仕事 ⑦:左記以外の者 ⑧:死亡・進路不明 無業者率とは,⑥~⑧の者が全体に占める比率です。要するに,定職に就けなかった者の比率です。死亡・進路不明率とは,⑧の比率のことをいいます。前回の記事で出した数字によると,人文科学系博士課程修了生の65.3%が無業者,19.0%が死亡・進路不明者という惨状です。 ところで,人文科学系は,文学,史学,そして哲学という専攻を内包しています。これ

    専攻別にみた博士課程修了生の惨状