DOI(Digital Object Identifier)とは、電子化された学術雑誌(ジャーナル)または出版物に付与されるデジタルオブジェクト識別子です。この国際的な識別子は、2000年に国際DOI財団(IDF)によって制定・導入され、出版社によって割り当てられています。登録機関固有の「10.」に続く英数字と4つ以上のプレフィックス(接頭辞)と、コンテンツを特定するサフィックス(接尾辞)をスラッシュ「/」でつなげます。このときのプレフィックスは出版社ごとに付与されている識別子で、サフィックスは出版社が個別のコンテンツに与える識別子となっています。コンテンツごとに番号が異なるDOIを付与することで、一貫した管理を可能にするのです。 DOIが付与されたコンテンツは、DOIの前に「https://doi.org/」を付けることで固有のURLを持つことができるようになります。つまり、「https
大学院の学位を取得するには、通常、それぞれの課程で論文を執筆する必要があります。ところが、「論文」を示す語には幾つかの類義語があり、修士論文(thesis)と博士論文(dissertation)の意味と使い分けにも、混乱が見られることがあります。ここでは、この2つの言葉の意味の違いを整理してみます。 ThesisとDissertationの意味は、英国においてすら時代によって変わってきました。シェイクスピアの時代、修士号取得を目指す者はthesisを書く必要がありました。この場合、thesisとは特定の意見を主張した原著論文です。これに対し、博士号取得を目指す者にはdissertationの提出と発表が求められました。審査会に対してthesis(論文)を読み上げると、2人の委員が読み上げた内容の一つ一つに対して異議を唱えていくのを静かに待ちます。この審査の焦点は、その学生の考えと、考えを明
誰の名前を論文著者として記載するか――という問題は、共同研究が広がるにつれ、ますます複雑になっています。論文執筆に貢献したにも関わらず名前が記載されなかったり、まったく貢献していないのに名前が記載されたりという論文の著者資格(オーサーシップ)は以前より注目されていましたが、分野や立場の異なる多くの研究者が1つの研究に参加することが増えてきたため、誰を筆頭著者、最終著者や責任著者とするか、名前の順位や責任の所在が新たな問題として浮上してきました。研究論文の作成に最も尽力した研究者である筆頭著者は明らかでも、それ以外の共著者の記載順も重要です。一般的には、研究への寄与が大きい人から順番に並べていきますが、複数の著者の貢献が同じぐらいであったり、比較が難しかったりする場合もあり、簡単にはいきません。そこで、貢献の質と度合い(量)を明確に示すことが推奨されるようになってきました。著者間の平等 (e
ここでは省略しましたが、実際のタイリクオオカミ(Canis lupus)の分類には、亜目、亜科といったサブカテゴリーも付いています。個々の種によって異なりますが、学名として記載される属名と種名が分かれば、その上位のカテゴリーの情報が系統立てて分かるようになってます。Canisやlupus単体では特定の種を表すことにはなりませんので、記載漏れのないように注意しましょう。また、小さなスペルミスでも他の種になってしまうこともありますので、スペルチェックは必須です。 動物の学名の書き方 では、実際に論文中に動物の学名を記述するときの注意です。 その生物に最初に言及する際には、学名と一般名を併記し、その後はいずれか一方を一貫して使うようにします。 Gray wolf (Canis lupus) is native to North America and Eurasia. タイリクオオカミ(Cani
Paper Millという言葉を耳にしたことはありますか?ここで話題にするのは、製紙工場ではなく、もっとタチの悪いものです。学術出版におけるさまざまな不正行為が摘発されていますが、「論文工場」とも揶揄される「論文代筆業者(Paper Mill)」による論文の量産に対する疑惑が浮上しています。 学術研究の出版履歴は、研究者としてのキャリアアップ、テニュア(終身雇用資格)獲得、さらに将来の研究プロジェクトへの資金調達にも多大な影響を及ぼします。少しでも多くの論文を出版しなければとのプレッシャーが、研究者を架空の研究論文を購入して出版するといった不正な行動に追い込んでしまうことがあります。データの改ざん、画像操作、査読のでっち上げなどが学術的な不正行為と見なされていますが、このような不正行為の数は増加する一方で、学術出版における大きな問題となっています。研究コミュニティは研究の公正さを維持するべ
2020年12月8日、日本政府が10兆円規模の大学基金を創設し、大学の国際競争力の強化および、若手研究者の人材育成、研究施設の整備支援に充てる方針を発表しました。経済対策の一環として日本の大学の研究力の抜本的強化を狙ったものです。国の財源からだけでなく、参加する大学や民間の資金を活用することも検討するとし、文部科学省所管の国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が外部機関に資金の運用を委託する予定です。国内外の債権や株式などへの投資を行うことで運用額を段階的に増やし、3年後を目処に10兆円規模を目指すとしています。この支援は、世界的な研究を行う大学を対象としたものですが、具体的な選定方法は今後の検討となっています。 進む法整備 2021年1月18日には、管首相が施政方針演説で「十兆円規模の大学ファンドにより、若手研究人材育成などの基盤整備を行い、世界トップレベルの成果を上げる自律した大学
学術研究や高等教育は、私たちの世界の形成において欠くことのできない要素です。今回のオンラインイベントでは、幅広い専門領域の著名な研究者を招き、彼らが見据える未来について語っていただきます。 世界規模のパンデミックの影響が続く中、学術研究は引き続き活発に行われており、論文の投稿数や閲覧数も増加し続けています。しかし、研究を取り巻く環境はさまざまな要因により再構築を余儀なくされており、急速な変化の渦中に置かれた世界の研究者には、これまで以上に質の高い研究が求められています。 研究支援エナゴの無料学術オンラインイベント「See the Future 」では、研究コミュニケーション、学際的な研究、ラーニングイノベーション、研究にまつわる自動化技術などの最新動向に焦点を合わせた各種プログラムを配信します。昨年に続き開催2回目となる本年度も、研究や研究コミュニケーションの未来を、世界の皆様と共に考えて
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療および感染拡大抑制のため、関連する研究論文の公開が急加速で進んでいます。大手出版社も含めた多くの出版社や研究機関が情報公開に踏み切り、関連論文のオープンソース化が進むと同時にスピード化も促進され、従来の査読付き学術雑誌(ジャーナル)ではなくプレプリントサーバーへの投稿が急増しています。COVID-19に関する新しい情報をより迅速に得ることが重要であるとはいえ、膨大な量の情報処理に追われる、研究の信頼性が保障できないといった問題も生じています。いくつか挙げてみます。 成果を急ぐあまり研究の品質が軽視される、あるいは精度(正確性)が失われる可能性(信頼できる調査結果と品質が保障されないデータが混在する恐れ) 査読プロセスのスピード化に伴う学術雑誌(ジャーナル)出版の信頼性の低下 誤解あるいは誤った情報の拡散 良質・悪質問わず多数の論文が投稿され
査読付き学術雑誌(ジャーナル)に論文を発表することは、研究成果の学術論文としての妥当性が当該分野の専門家に認められることであるとともに、論文に書かれた内容の信頼性を読者に担保することにつながります。 一般的には、論文を学術ジャーナルに投稿すると、査読のプロセスが始まります。まず、投稿論文を受け付けた学術ジャーナルの編集者は、その論文の分野の複数の研究者に論文を送り、評価を依頼します。研究者は「査読者」として、論文を読み、ジャーナルの出版基準を満たしているか、論文の内容が掲載に値するかを判断します。査読が完了し、基準を満たしているものがジャーナルに掲載されます。 査読は、研究成果の発表を判断する重要なステップであり、学術研究の信頼性を下支えするものです。ジャーナルの編集者が当該分野の研究に精通しているわけではありません。その分野で実践的な経験を積んだ研究者だけが、論文に記された研究内容につい
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く