マンガと映画についての美学的メディア比較論であり、これまでの議論・言説を丁寧に再検討しながら、「映画的」であるとはどういうことなのかを論じ、それが「近代」を前提しにした視覚文化であることを示していく本。「映画的」っていうのが単に技法的な話ではなくて、近代の大衆文化とか時間概念とかにおける考え方のことなんだ、という話 メディアの特性とか技法とかを形式的に判断するのではなくて、それがどういう思想・システムのもとで動いているかを見て判断しないといけないよっていう話でもある。 また、サブタイトルに「コマと時間の理論」とあるように理論を書いた本であるのだが、落下のモチーフをめぐるマンガ批評(作品論)として読めなくもないところが各所に差し挟まれている本でもある。 ちなみに修士論文がもとになっているらしい。 この本は、メディア比較の方法論から説き起こして、これまでの議論の検討も含め、丁寧な解説がなされて
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