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ブックマーク / salon.mainichi-kotoba.jp (15)

  • 「~たり、~たり」を省略しない理由 | 毎日ことば

    省略すると誤解の可能性も それでも最初の「たり」で並列だと分かるのだから、とか、当然・自明のことは省略していくのが言葉の作用の常であり誤解を生むような実害はないのだから、などと思われる方もおられると思います。そこで、次に毎日新聞用語集をごらんください。「誤りやすい表現・慣用語句」の章に「…たり(だり)」の項があります。 「脅したりすかしたり」のように「たり」を重ねるのが基形。「遊んだり学ぶのを手助けする」のように後の「たり」がないと、「遊ぶ」と並立させているのが「学ぶ」か「手助けする」か不明確なので、列挙の場合はできるだけ「たり」を繰り返す 毎日用語集には誤解の可能性があることが明示されています。「遊んだり学んだりするのを手助けする」なのか「遊んだり学ぶのを手助けしたりする」なのかが分からなくなるわけです。こと機能の面からすれば、やはり後ろの「たり」を省略しないほうがよいと言えると思いま

    「~たり、~たり」を省略しない理由 | 毎日ことば
  • 永遠と、脈絡と、連綿と…なぜ「々」を使わない?

    漫画の校閲は新聞記事とは全く違ったチェックポイントが多く、なかなか大変です。飼いのしっぽがあり得ないほど長く伸びているとか、登場人物の名前が違っているとか。辞書に載っていない俗語の扱いも難しいものがあります。 ... 飯間さんの記事には「そういえば」と前置きして次の文章もありました。 ずっと何かをすることを「永遠と」と言うことも多くなりました。たとえば、「友だちと永遠とアニメの話をしていた」というふうに使います。 飯間さんはこの「永遠」は「えんえん」が変化したものかもしれないと推測しています。 飯間さんが編集に携わっている三省堂国語辞典8版でこの使い方があるか調べてみると、やはりありました。「永遠」の2番目の意味として 〔俗〕延々。「―と続く道」〔二〇一〇年代に広まった用法〕 とあります。 一方、誤用に厳しい明鏡国語辞典は3版の「注意」欄で 「延々」と混同して、「永遠と」の形で副詞として

  • 「保証」と「保障」

    「保証」は「まちがいなく大丈夫であるとうけあうこと。まちがいが生じたら責任をとると、約束すること」(大辞林)。この場合は「立場・権利などが侵されないように守る」という意味の「保障」が合います。「補償」も含め、「ほしょう」の使い分けはなかなか複雑です。 ほしょう 保証〔請け合う、損害の責めを負う〕 命の保証はない、債務保証、…という保証はない、品質の保証、保証金、保証責任、保証人、身元保証、連帯保証 保障〔立場・権利などが侵されないように守る〕 安全保障、権利保障、言論の自由を保障する、社会保障、人権を保障する、身分保障、老後の生活を保障する 補償〔損害などを補い償う〕 遺族補償、刑事補償、災害補償、損害補償 注:「自動車損害賠償保障法」など固有名詞に注意

    「保証」と「保障」
  • 「政局にする・なる」

    「このまま政局になる」「政局とはしない方向」という言い方に、新米校閲記者は驚いた。政局とは「政治・政界のなりゆき・ようす」(角川新国語辞典・1981年)を表す語で、戦局、時局などと同様、これからどうなるかという情勢、形勢のことだと思っていた。「先の読めない政局になりそうだ」というならわかる。しかし、なんら修飾語が付かず「政局にする・なる」とはどういうことか。どのような文脈だったか、詳しくは覚えていないが、「『政局にするのではなく、国民生活を大事に考えた政治をやっていただきたい』と話した」のような使い方だったろうか。しかも「する」ではなく「政局にしない」と、多くは否定形を取ることが特徴である。政治家自身の発言の引用に限らず、記者の地の文にもたまに出てきた。 それから30年が過ぎた。大辞泉の第2版(2012年)には政局の意味に「②政党内・政党間の勢力争い。特に、与党内での主導権争い。多く、国会

    「政局にする・なる」
  • 「笑ってる」「やってない」…“い抜き” 気になる?

    「い抜き」も同様でしょう。NHKの高校講座「ベーシック国語」の2学期第20回「適切な表現」では、「避けたい語句・表現」の中に「い抜き言葉」が挙げられていました(2学期の第20回学習メモ)。文章の書き方を学ぶ人に勧められるような規範的な表記ではないということです。まず基的には、「い抜き」を避けて文章を書けるようになる必要があると言えます。 新聞も記事によっては使うことも 新聞は文体レベルが高い(はずであり、そうなるように努力しています)のが普通で、「い抜き」とは相性がよくありません。ただし、気楽に読めるようにあえてくだけた表現で書くこともあり、「い抜き」の方がしっくりくる場面もあります。 歌手・森昌子さんの引退表明についての萩欽一さんのインタビューでは「ちっともびっくりしてない。おもしろいなって思った」というコメントが載りましたが、これをわざわざ「びっくりしていない」にすると、欽ちゃんら

    「笑ってる」「やってない」…“い抜き” 気になる?
  • 性別や性的役割分担の記述、全面的に見直した新明解国語辞典

    恋愛対象は「異性」に限らない 吉村さん 今回はLGBTなど性的少数者やジェンダーなどに関わる項目を全面的に見直しました。結構これが大変でした。かなりの量だったんです。たとえば、よく話題になる「恋愛」の語釈でも「特定の異性」という言葉で述べられていたところを、今回は「特定の相手」に変えました。多様な性の存在は広く認知され、受け入れられる社会になってきていますよね。 吉村さん これは年配の編集委員の先生とかなりやり合いまして、大変時間をかけて議論しました。「先生、今はこうですよ」と伝えると、先生は「そういうのもあるかもしれない。だけど来の意味での恋愛っていうのは、圧倒的多数が男女だ。異性だ」と。それで頑として譲らないんですよ。 ところが比較的若い編集委員の先生方は、現役で大学で教えていらっしゃることもあり、学生からやはり指摘を受けるそうです。そこから意見が上がり、それを後押しにまた私が繰り返

    性別や性的役割分担の記述、全面的に見直した新明解国語辞典
  • 字体の海におぼれる

    タイトルにある「おぼれる」、漢字でどう書くか説明できますか。「さんずいに『弱い』」? そう言い切れれば話は早いのですが、実は「おぼれる」という漢字には図のように2種類の字体が存在し、活字の標準とされているのは右の字体なのです。ややこしいですね。どうして「弱」と「おぼれるのつくり」とで、標準とされる字形が微妙に違うのでしょうか。 「弱」の字体を最初に示した当用漢字字体表(1949年、内閣告示)は、漢字を簡略化する当時の方針に沿って作られました。元々「縣」だったものが「県」になったような例から、「弱」のように字画の向きが変化した細かい例(元々の字体は「おぼれるのつくり」でした)まで、手書きの習慣を考慮して生まれたさまざまな新字体が採用され、その方向性は現在の常用漢字表(2136字)に引き継がれています。 一方、当用・常用漢字以外の膨大な漢字については、長らく簡略化しないまま活字化されてきました

    字体の海におぼれる
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2019/11/13
    "当用漢字字体表(1949年、内閣告示)は、漢字を簡略化する当時の方針に沿って作られ[...]一方、当用・常用漢字以外の膨大な漢字については、長らく簡略化しないまま活字化されてきました"
  • 教科書などの“決まり” どう考えるか

    公用文は「漢字で書けるものは漢字で」 武田さん:平成29年度の世論調査では公用文の表記のこと、例えば「若しくは」と書くことについても聞きました。一般の方にとっては見慣れない表記だと思うのですが、新聞の現場の皆さんはどう受け止められますか。 ーー常用漢字表で使えるのだというところが意外でした。現場ではひらがなで書いてあるものをわざわざ漢字にすることはしないので、「もしくは」を「若しくは」と直すことはないのですが。 武田さん:新聞では、表内にあっても、必ず漢字を使うとは限らないんですよね。 ーー交ぜ書きはしないとかはありますが、漢字で書かなければいけないというふうにはしていません。 武田さん:接続詞は原則として仮名書きなのですが「若しくは」「及び」「又は」「並びに」の4語については、漢字を使うことになっています。公用文には、細かなルールがありますが、基は「常用漢字表にある漢字で書けるものは漢

    教科書などの“決まり” どう考えるか
  • 「軒並み」に例外はあるか

    それほどは暑くなかった夏のこと。「最高気温は名古屋で32度、津で33度、岐阜で29度と軒並み30度を超えた」というような社会面の記事に、デスクが「『軒並み』じゃねえよなあ」。 それまでこの言葉には「おおかたそうなっている」というぐらいの曖昧なイメージを持っていましたが、辞書の上では「どこもかしこも。だれもかれも」(広辞苑)というかなり強い意味になるようです。とするとこの場合、岐阜が当てはまりません。だからデスクはおかしいと感じたのでしょうか。 でも実際の用例を見てみると、純粋に「一つ残らず全て」を示してはいないものが多いようです。「2009年衆院選では小泉チルドレンが軒並み落選」といっても10人は当選しています。ゴルフの記事で「強風で各選手が軒並みスコアを落とした」と書かれていてもアンダーパーで回っている選手はいました。毎日新聞に限らず他の全国紙でも同様です。これらの用法は厳密には不適切な

    「軒並み」に例外はあるか
  • 【楽器】手風琴、琴の琴、乙張り、小鼓、三線

    てふうきん (正解率 67%) アコーディオンのこと。明治時代から用いられた訳語。風琴はオルガンを指すが、アコーディオンを表すことも。楽器の日は6歳の6月6日が習い事を始めるのによいとされたことから、全国楽器協会が定めた。 (2016年06月06日)

    【楽器】手風琴、琴の琴、乙張り、小鼓、三線
  • 「ヴ」使いますか?

    質問の仕方がやや曖昧だったかもしれませんが、「V」でつづる語には「ヴ」を使うこともある、という人が過半数を占めました。必ず「ヴ」を使うわけではないけれど時々は「ヴ」を使う、という人が多数派。ほぼ「ヴ」を使うという人が3分の1強と、外国語のつづりに自信のある人も多いようです。 「ヴ」は「ヴ」音に――? 1952年の国語審議会報告「外来語の表記」では「原音における(中略)『ヴァ』『ヴィ』『ヴ』『ヴェ』『ヴォ』の音は、なるべく(中略)『バ』『ビ』『ブ』『ベ』『ボ』と書く」としていました。もっとも、「外来語用例集」には「ヴォキャブラリー」「ランデヴー」のような例も出ていますから、当時において外国語という意識が強かったものについては「ヴ」でもよいということだったのでしょう。 91年の内閣告示「外来語の表記」には以下のようなくだりがあります。 「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」は、外来音ヴァ、ヴィ

    「ヴ」使いますか?
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2019/04/24
    外国語の音を想起させたい時はヴ,日本語として定着した語にはバ行ってところかなー。世界史の話をする時はヴァイキング,ご飯の話ならバイキング,みたいな
  • 「喧々囂々」と「侃々諤々」

    「ケンケンガクガク(喧々諤々)は誤り」とよく言われますが、元の「喧々囂々」(けんけんごうごう)と「侃々諤々」(かんかんがくがく)は意味合いが違います。前者はやかましく騒ぎ立てること。真剣な議論なら後者です。

    「喧々囂々」と「侃々諤々」
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2019/02/26
    “「ケンケンガクガク(喧々諤々)は誤り」とよく言われますが、元の「喧々囂々」(けんけんごうごう)と「侃々諤々」(かんかんがくがく)は意味合いが違います。前者はやかましく騒ぎ立てること。真剣な議論なら後
  • お金を支払うことを「課金する」と言う?

    インターネットの世界で、サービスに料金を支払うことを「課金する」と言う人が増えてきました。課金とは読んで字のごとく金を課す、つまり「料金を負わせること」(広辞苑)で、来は逆の意味です。しかしオンラインゲームかいわいなどでは今や、この辞書的な意味とは反対の用法が支配的であると言ってよいでしょう。「募金する」が「お金を募ること」ではなく「お金を寄付すること」の意味で広く使われる現象と非常に似通っていて、興味深いところです。 そもそも「課金」という言葉は今までどのような場面で使われてきたのでしょうか。新聞のデータベースを検索すると、高速道路や各種インフラの料金体系に関する記事が多く(「距離に応じて課金」など)、レジ袋の有料化に関する記事などもありました。いずれも決まれば一律に料金が課される性質のものです。課金に応じるかどうか、お金を払う側の意思で細かく選択するサービスが普及したことで、言葉に新

    お金を支払うことを「課金する」と言う?
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/07/01
    認知言語学の意味でのメトニミーの一種だろうなと
  • ネットの類語辞典は辞書といえるか

    安倍晋三首相が国会で「そもそも」を辞書で調べると「基的に」という意味もあると答弁した一件で、そう明記した辞書は見当たらないと記したところ、複数の読者からインターネットの「Weblio類語辞典」に「基的に」があるという指摘をいただきました。 既に5月のブログでその可能性には言及していましたが、もっと強調しなければなりますまい。「Weblio類語辞典」は「辞書」とはいえないと。 「辞書」という言葉を、政府も参照したという「大辞林」で調べると 多くの言葉や文字を一定の基準によって配列し、その表記法・発音・語源・意味・用法などを記した書物。 とあり「書物」というのは一般的に「紙の」を指すものです。だから私は30種以上(版の違うものなどを含めると約50冊)の紙の辞書にあたり、「そもそも」に「基的に」の意味を記したものは見つからなかったことを記したのです。 ただし、紙の辞書の中には「大辞林」「

    ネットの類語辞典は辞書といえるか
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/06/17
    Weblio の他の辞典は基本的に紙のものを収録してるから,「ネットの辞典はあてにならない」の通説はあてはまらないんだけど,そこが逆に落とし穴になってる感じある/そもそも類語辞典は定義の確認には向いてないよね
  • 「読めば気づくこと」を増やすために

    「まずは読んで分かる間違いを見逃さないように」 校閲記者の大先輩はよくこう言います。時間があれば資料やインターネットでいろいろと調べることができますが、一つ一つ確認する余裕がないときもあります。そんな中まず防ぐべきは「読んで分かる間違い」であるというのが先輩の教えです。 でも、誤字・脱字は別として、何が「読んで分かる間違い」なのかは人によって異なるのでは? 知っていれば読んだだけで気付けることも、知らなければ気付けない。間違いに気付けるかどうかは個々人の教養に左右されるのではないかと、物知らずの私は先輩の言葉を聞く度ハラハラしています。 ある日こんな原稿がありました。 「広島で被爆した作家・原民喜(1905~51)の代表的な小説『鎮魂歌』の直筆原稿が講談社(東京都)の収蔵庫で見つかり、著作権を持っているおいの原時彦さん(81)に返された」 私はこの原稿の初校を担当し、問題ないと思ってデスク

    「読めば気づくこと」を増やすために
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