島根県松江市からロシアに出荷された牡丹(ぼたん)の総数が、このほど累計1万本を超えた。極東への試験輸出から5年あまり。昨秋にはモスクワの国際見本市で好評を博すまでに至った。歩みを支えてきたのは、関わる人々の情熱だった。 昨年9月、モスクワで開かれた見本市「フラワーエキスポ2014」。日本各地から6団体・企業が出展した中でも、島根県が設けた牡丹のブースはひときわにぎわった。地元バイヤーから新規の注文が入り、すでに販売実績のある極東から首都圏の大市場へと広がりを見せる。出荷元は日本一の牡丹生産地、地元で「大根島」として親しまれる松江市八束町だ。 ブースではロシア人スタッフに交じり、1人の島根県職員が忙しく駆け回っていた。貿易促進支援室主任の福間猛氏(40)である。6年前に牡丹輸出を発案し、多くの関係者の協力を集めて実現にこぎ着けた、牡丹プロジェクトの中心人物だ。 留学時代から温めたアイデア ア