「1本の矢は折れやすいが、3本束ねると折れにくい」――。 戦国大名・毛利元就は今際の際、3人の息子に対し、このたとえを通じて、3人力を合わせて毛利家を繁栄させよと説いたとされる。 それから約400年が経った今日、同じ考えによって造られた巨大な火の矢が、電気で動く籠を天の世界へと打ち上げた。 米宇宙企業スペースXは2018年2月7日、新型の超大型ロケット「ファルコン・ヘヴィ」の初打ち上げに成功。同社CEOイーロン・マスク氏の愛車、赤い「テスラ・ロードスター」を、火星の公転軌道を越える惑星間軌道に投入した。ロードスターは人工惑星となって、何万年も太陽系をまわり続ける。 同じロケットを3機束ねたような、壮大な姿をしたファルコン・ヘヴィは、現役のロケットの中で最も強大な打ち上げ能力をもつ。この超大型ロケットで、スペースXは、そしてマスク氏は、いったいなにをしようとしているのだろうか。 本連載の第1