オランダの児童手当をめぐる事件の被害者の一人、センシミリア・シュヘンダリンと長男のセオ=2023年11月4日、オランダ・ロッテルダム、荒ちひろ撮影 突然、身に覚えのない「不正受給者」に 「すべては2010年、税務当局から届いた一通の手紙から始まったんです」 オランダのハーグで会ったジャネット・ラメサーさん(38)は、悲痛な表情でそう振り返った。 当時、離婚して3歳の一人息子とともにロッテルダムから故郷のハーグに移ったばかりだった。フルタイムで働き、託児費用の大半は申請に応じて公的に負担されていた。税務当局からの手紙は、改めて就業時間や託児施設の利用を証明する書類を送るよう求める内容だった。 何かの間違いだろう。そのときは深刻には考えず、書類をそろえて返送した。同様の手紙がその後、3度届いた。不審に思いつつ、その度に書類を送ったり、直接役所に出向いて提出したりした。 だが2016年、それまで