オランダの児童手当をめぐる事件の被害者の一人、センシミリア・シュヘンダリンと長男のセオ=2023年11月4日、オランダ・ロッテルダム、荒ちひろ撮影
移民の臨時受付センターが設けられたマンハッタンのホテル前に並ぶ新たに到着した移民たち=2023年8月1日、ニューヨーク、ロイター
2023年11月17日から5日間にわたり、「ChatGPT」の開発元として世界的に注目される米国のAI(人工知能)開発組織OpenAIの内紛劇が世界を騒がせた。関連して「EA」「e/acc」という見慣れない用語がネットを飛び交った。これらは、主に英語圏のテクノロジー業界で流行している「思想」を指す言葉だ。内紛劇の背後にある「思想」を見ていくと、そこにテクノロジー業界にはびこる「気分」あるいは「マインドセット」の危うさが潜んでいる。 CEOの突然の解任と復帰、理事会の再編劇 背後に「思想」対立? まずOpenAI内紛劇を簡単に「おさらい」しておこう。 OpenAIの理事会は11月17日にサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)を解任。ところがわずか5日後、11月22日にアルトマンはCEOとして復帰すると発表された。 ただしアルトマンは理事の地位は失い、また自分の行動について独立した調査を受け
ネタニヤフ政権の退陣を求め、イスラエル国会前に張ったテントを訪れた支援者と話すマオズ・イノンさん=2023年11月14日、エルサレム
ブルックリンの大通りでパレスチナ支持を掲げ戦闘停止を求めてデモ行進する人々=2023年10月28日、ニューヨーク、ロイター
日本最大手の芸能プロダクションの暗部が、全世界に公開された。 発信元はイギリスの公共放送・BBCだ。ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏の性的虐待問題を追ったドキュメンタリー番組『J-POPの捕食者──秘められたスキャンダル』が、現地で3月7日に放送され、18、19日の両日には字幕入りで日本でも放送された。 そこでは、15歳のときにジャニー氏に性的虐待を受けたというハヤシ氏(仮名)が登場し、ときに声をつまらせながらその詳細を証言している。また他にも元ジャニーズJr.が3人取材を受けており、うち2人──平本淳也氏とリュウ氏がジャニー氏の行為について証言している。 これまで雑誌記事や書籍などでこの件は扱われてきたが、カメラの前で当事者が証言したのはおそらくはじめてだ。 間接的に疑惑認めた、民事訴訟でのジャニー喜多川氏の証言 まず、簡単に番組内容とジャニー氏の性的虐待問題について整理してお
男性のトップアイドルグループや人気歌手が数多く輩出してきた芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」創業者で、2019年に亡くなったジャニー喜多川氏が生前、事務所に所属する少年たちを性的に搾取していたとする証言を集めたドキュメンタリー番組をイギリス公共放送BBCが制作し、3月7日に放送した。 日本でも注目が高まる中、制作に携わったディレクターらが3月17日、オンラインで会見した。 番組名は「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」(原題=Predator: The Secret Scandal of J-Pop)。イギリス本国では3月7日(日本時間8日)に放映された。日本では3月18、19両日に放送や配信が予定されている。 日本での放映に先立って17日、東京都内の日本外国特派員協会(FCCJ)で本編が上映され、取材にあたったジャーナリストとディレクターとによるオンライン会見が開かれた。 会
人の死体をテーマに世界各地で撮影を続けてきた写真家の日本人男性がこのほど、ウクライナに向かった。ロシア軍の侵攻によって多くの人が犠牲になる中、男性がファインダーを向けたのは、人々の生きる姿だった。 写真家は東京在住の釣崎清隆さん(55)。1994年、雑誌の仕事で初めて死体を撮ったのがバンコクで、殺人事件の被害者が被写体だった。 死体を撮ることに躊躇はなかった。「死体は誰もが目を背ける、過激なパワー故に、いわば究極の被写体であり、取り組むことに表現者としてやりがいを感じている」と釣崎さんは話す。 死体そのものも興味深いが、死体をとりまく環境、親族や現場に群がる見物人、警察官、レスキューの様子から死者に対する生者の向き合い方にもそれぞれの国柄や民族性、哲学や精神性が反映しているのを感じ、全体として作品のテーマにするようになったという。 取材に応じる釣崎清隆さん=6月、東京・築地、関根和弘撮影
モノであふれる雑然とした執務スペース。ロシアの自由な通信を守るためのサービスを続ける筑波大学客員教授・登大遊さんは、この長机でアイデアを形にする=須藤龍也撮影 コンピューターのサーバーが積み上げられた部屋で、大量に接続されたケーブルの通信ランプが、それぞれに緑色の点滅を繰り返していた。外部から接続されていることを示すものだ。 接続している人たちは、このサーバーを中継地点にして、世界各国のサイトにアクセスしている。 これは、「VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク=仮想専用線)」と呼ばれるサービスの一環だ。 VPNはもともと、企業など組織内のネットワークに外部から安全に接続する仕組みとして考案された。コロナ禍で在宅勤務をするために使い始めたという人も多いだろう。 VPNにつながる通信はすべて暗号化されており、接続する人がどのサイトにアクセスしているかなど、第三者が知るすべはない。 「
反ロシア政府系のニュースサイトはテレグラムの中にチャンネルを作り、ロシア国内からも見られるように配信している=須藤龍也撮影 モスクワに暮らすティモール・アイシンさん(27)は、オンラインの取材に対して、パソコンの画面越しにスマホをかざして言った。 「よく使っていたツイッターとインスタグラムは、3月に入ってから使えなくなった。アプリを開くと、データを読み込んでいることを示す輪がぐるぐる回っているだけになるんだ」 アイシンさんはロシアの民間自動車会社に勤める。お昼休みの時間にはテレビから国営放送のニュースが流れ、連日のようにロシア軍の勝利を報じている。同僚の多くもそれを信じているという。「多くの人はインターネットの知識が豊富なわけではなく、政治にも無関心。流れてくる情報しか見ていない。ネット上で自分から積極的に正確な情報を探しにいかなければ、何が起きているのかを知るのは難しい」 ユ-ジーン・マ
バンコク市街から東へ約30キロ。東南アジアのハブ空港のひとつ、スワンナプーム国際空港の近くに、緑に囲まれ、小池が点在するキャンパスがある。 多くのエンジニアを輩出し、タイの経済発展の一翼を担ってきた国立キングモンクット工科大学ラカバン校(KMITL)。東京ドーム30個分にもなる広大な敷地に、「KOSENーKMITL」の表示をつけた校舎を見つけた。 日本には、中学校を卒業した若者を5年間の一貫教育で、大学の工学部レベルの専門知識を持つ技術者に育てる「高等専門学校(高専)」という、世界でもまれな教育システムがある。 「KOSEN-KMITL」は、日本の高専とほぼ同じカリキュラムを取り入れ、日本から10人の教員が派遣されている。開校して4年目。来年度には、敷地内に専用の校舎ができる。 タイ高専のコムサン・マーリーシー校長=バンコク、織田一撮影 2月末、この「タイ高専」を訪ねた。 「二酸化炭素が増
ウクライナ侵攻に従軍し、亡くなったロシア兵の棺がほかの兵士らによって運ばれた=3月5日、ロシア・ブリヤート、ロイター 「徴兵された兵士たちは(ウクライナでの)軍事行動に参加していないし、これからも参加することはないと強調しておきます」 国際女性デーの3月8日、プーチン大統領は女性たちへの恒例の祝辞でこう断言した。これより前、ウクライナ侵攻に徴兵された若者たちが派遣されているとの指摘があり、そうした批判をかわす意図があったとみられる。 大統領は、派兵されるのはプロの将兵である契約兵のみだと述べた。一方、徴兵された兵士は徴集兵と呼ばれ、入隊後、約4か月しか訓練を受けず、本格的な作戦は難しいからだ。 国際女性デーの3月8日、祝辞を述べるロシアのプーチン大統領。この中でウクライナ侵攻に徴集兵を派遣していないと断言していた=モスクワ、ロイター ところがこの翌日、ロシア国防省の報道官は派遣部隊に徴兵さ
業界の首位と2位は単純に言えば競い合うだけの関係ですが、同じ組織のトップとナンバー2となると、支えもすれば競いもする複雑な人間模様を描きます。 最初の出版から今年で40年、2度目のアニメ化が進み、国境も世代も越えて読み継がれているSF小説の大作「銀河英雄伝説」(銀英伝)では、その序盤、異彩を放つ登場人物がトップに「ナンバー2不要論」を具申します。「組織にナンバー2は必要ありません。無能なら無能なりに、有能なら有能なりに、組織をそこねます」――。 この発言は物語の展開を大きく変え、多くの銀英伝ファンの心を揺さぶることになるのですが、著者の田中芳樹さんはこの発言にどんな思いを込めていたのでしょうか。(大牟田透) 「銀河英雄伝説」のオーベルシュタインが唱える「ナンバー2不要論」を語る田中芳樹さん 銀英伝は、銀河帝国のラインハルト、自由惑星同盟のヤンという2人の若い戦略家の攻防を軸に描かれた壮大な
北京オリンピックが2月4日に開幕する。世界屈指のアスリートたちが熱戦を繰り広げる中、忘れてはならない問題がある。 新疆ウイグル自治区での人権問題だ。この問題に家族が巻き込まれたという日本在住のウイグル出身の男性は「私たちの日常平和を破壊しておきながら、何事もなかったかのように開かれるオリンピックには反対」と訴える。 新疆ウイグル自治区は中国北西端にあり、中央アジアなどに隣接している。中国の行政単位(省または自治区)としては最大の面積で、約2500万人が住んでいるとされる。多様な少数民族が暮らしてるが、最も多いのがウイグル族だ。18世紀半ばに清朝が征服して以降、今の中国に属している。2009年に広東省の工場で漢族がウイグル族を襲う事件があり、自治区のウルムチでウイグル族が抗議デモをしたところ、治安部隊と衝突。これをきっかけに当局の締め付けが強まり、ウイグル族を「テロ分子」「分離独立派」なとど
――どんなきっかけでごみ清掃の仕事を始めたのですか。 36歳の時に妻が妊娠して出産のお金が必要になりました。芸人の仕事だけではとても足りないのでアルバイトを探したんですけど、これが見つからないんです。まだお笑いをやりたい途中なのに消極的にやめるのはイヤだった。友達にたまたま紹介されたのがごみ清掃員でした。 それまで、ごみのことを真剣に考えたことなんて一回もなかったので、衝撃を受けたんですよ。何にかって言うと、ごみの量。ごみ清掃車は1台約2トン入るんですけど、それを1日6回集めては捨てて、ってやるから合計12トン。それが何百、何千台って毎日、いろんなところを走っているんですよ。 怖くなってベテランの先輩に『日本って、ごみあふれませんか』って聞いたら、『あふれるよ』って当たり前のように言うんです。もうびっくりしちゃいましたよ。 ――ごみの量や種類も地域によって違うと気づいたといいます。 普通の
対面授業再開後の筆者の授業風景。教室で受講したのは4人だが、オンラインで40人近くが「出席」した=筆者提供 ■「対面」は76人中4人 まず、写真を見ていただきたい。これは対面授業再開から約2カ月後の12月7日の筆者の授業の様子である。この授業には76人が受講登録しているが、この日教室へやって来た学生は4人だけ。一方、教室で筆者が話している様子はZoomで同時中継されており、オンライン空間では40人近い学生が授業に「出席」している。この日は全15回実施する授業の11回目だったが、それまで教室へやって来る学生が10人を超えたことは一度もない。一方、オンライン授業の出席者は毎回少なくとも30人前後、多いと50人近くに達する。 感染拡大で大学が原則として全授業をオンラインで実施していた当時、学生や保護者からは「なぜ、小学校、中学校、高校は感染対策を取りながら対面授業を続けているのに、大学だけはオン
SNSで不適切な投稿をしたとして、仙台高等裁判所の岡口基一裁判官が国会の弾劾裁判所に訴追されました。 罷免判決を受ければ、岡口氏は裁判官を辞めるだけでなく、法曹資格も失うことになります。 SNSでの発言をめぐって弾劾裁判にかけられるのは前代未聞であり、三権分立を揺るがすとして多くの法曹関係者から反対の声が上がっています。問題点と国民に与える影響について論じます。(弁護士・亀石倫子) 弾劾裁判とは 弾劾裁判とは、国会に設置された裁判官弾劾裁判所が、身分にふさわしくない行為をした裁判官や、職務上の義務に違反した裁判官を辞めさせるかどうかを判断する裁判です。 裁判官は、公正な裁判を行い国民の権利を守るという重要な役割を担っているため、国会や内閣から圧力を受けたり、特定の政治的・社会的な勢力から影響を受けたりしないように、憲法で「裁判官の独立」が保障されています。 その例外が弾劾裁判です。憲法で身
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