日本の経済人は、この程度のニュースを見て「スゴイ」と驚いたり、「へー」と納得したりするのだろうか。もしそうであれば、このこと自体、そして記事に書かれた内容は、日本の経済人の大半がビジネスプロセスを素早く把握する能力に欠けている事を示しているように思える。 問題のニュースは、日経のWeb版、IT+PLUSに掲載されていた有賀 貞一 (あるが ていいち) による8月26日11:16の記事『「エコポイント」の情報システムがわずか3週間で完成した理由』である。 ---- この記事を乱暴に要約すると『インターネットを使ったエコポイント受付システムを7月1日から稼動すべく5月下旬に複数のITベンダーに打診したが、構築に数百億以上かかると言われたり、始めからさじを投げて相手にしなかったりで、結局米セールスフォース・ドットコムの基盤サービス「Force.com」が請け、見事に3週間で完成させた。いままでバ
■ エコポイント申請画面が共用SSLサイト上にある件 「エコポイント」の情報システムがわずか3週間で完成した理由, 有賀貞一, NIKKEI NET, 2009年8月26日 こうした問題を解決するために、エコポイント事務局と関係省庁が選択したのが、米セールスフォース・ドットコムの基盤サービス「Force.com」だった。セールスフォースはこのForce.comを「クラウドコンピューティングプラットフォーム」と表現している。利用者はサーバーなどのインフラを持つことなく、この基盤上で独自のシステムを構築できる。 という記事を読んで、「エコポイント」のサイトを初めて訪れたのだが、これはまずい。 「エコポイント」公式サイトの運営者は、「グリーン家電エコポイント事務局」となっていて、プライバシーポリシーでも個人情報取扱責任者が「グリーン家電エコポイント事務局」として書かれている。しかし、国民の視点か
◇遅まきながら動き出した国内IT企業 ◇日本ユニシス、富士通、NEC、日立、NTTコム…の戦略 クラウド化の進展は、ユーザー企業にはコスト面のメリットを、情報通信業界にはパラダイムシフトをもたらす。出遅れた国内大手IT企業も、一斉にクラウド・ビジネスに本格的に取り組み始めた。【週刊エコノミスト編集部・尾村洋介】 東京都港区六本木のセールスフォース・ドットコム日本法人の宇陀栄次社長のもとに、5月末、エコポイントシステムを担当している経済官庁の官僚が訪れた。 政府の経済対策に盛り込まれたエコポイントは7月1日開始が決まっていた。システムのテストに1週間程度かかるため、開発期間は正味1カ月しかない。システムに必要な条件は固まっておらず、何より、予算は「10億円以下で頼む」ということだった。 他社が、尻込みしたのも無理はない。従来のビジネスなら、少なくとも、数十億円の予算が必要な案件だった。これに
日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,国内の主な情報通信製品/サービス・ベンダー45社のイメージを調査したところ,「自分の仕事(職務領域)と接点がある」と感じているベンダーのトップは「マイクロソフト」(76.2%,前回2008年10月調査では76.8%,2008年7月調査では79.2%),2位は「NTT東日本/NTT西日本」(NTT東西,67.6%,前回70.3%,2008年7月調査では68.4%),3位は「デル」(64.3%,前回60.9%,2008年7月調査では62.8%)だった。 今回の調査から評価対象として提示するベンダーのリストを若干絞り込んだが,トップ3社は2007年10月調査以来,2008年1月調査,2008年4月調査,2008年7月調査,前回2008年10月調査,今回と連続6回,2年弱にわたって変わらな
クラウド・コンピューティングにCIOはどう備えるべきか 本質を見極め、採用に向けてのロードマップを描く 関連トップページ:CIOの役割 | IT基盤 | 仮想化 | クラウド/SaaS IT業界を覆うクラウド・コンピューティング(Cloud Computing)熱には、いまや“流行”を通り越して、“祈り”に似たものすら感じる。連日のように、ITベンダーのクラウド関連サービスや製品が発表され、クラウドをテーマにしたセミナーはどこも満員御礼の盛況ぶりだ。世界全体が未曾有の経済危機に陥ったことで、大規模なシステム受注が望めない現状にあって、ITベンダーは、このコンピューティング・モデルに一縷の望みを託しているようだ。もちろん、ユーザー企業にとっても、クラウド・モデルは、コスト削減や開発期間短縮といった面から、今後のIT戦略上、無視できない存在となっていくに違いない。本稿では、CIOがクラウド・コ
写真●SaaS基盤共通機能の発表<br>画面奥からNTTコミュニケーションズの原隆一・理事・ビジネスネットワークサービス事業部長,NTTデータの神田文男・ビジネスソリューション事業本部長,NTT持ち株会社の端山聡・研究企画部門R&Dビジョン統括部長 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)とNTTデータ,NTT持ち株会社の3社は2009年7月29日,SaaS事業者向けに認証や課金などのプラットフォーム機能を提供する「SaaS基盤共通機能群」を共同開発したと発表した。NTTコムとNTTデータはそれぞれのSaaSサービス用プラットフォームに今回開発した機能群を導入していく。これらの機能をSaaS事業者向けに提供することで,NTTコムとNTTデータはそれぞれ100億円程度の売上げを3年後に確保することを目指す。 今回,3社が共同開発したSaaS用の共通機能は6つある。(1)認証基盤,(2)Saa
日本IBMは10月中旬に、サーバやストレージなどのITリソースをネットワーク経由で提供するクラウドサービスを提供する。 日本IBMは7月30日、ITリソース(資源)をネットワーク経由で提供するクラウドコンピューティング関連のサービスを10月中旬に提供すると発表した。サーバやストレージの機能を月額課金で提供する「パブリッククラウド」と呼ぶ形態のサービスを展開する。 新サービスの名称は「IBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス(IBM MCCS)」。これは日本IBMのデータセンター内に構築したクラウドコンピューティング環境から、x86サーバ「IBM System x」やストレージ「IBM System Storage」のリソースをネットワーク経由で提供するもの。 データセンターに整備したサーバやストレージに仮想化技術を活用し、それぞれのITリソースを論理的に分割。複数の企業や
流行している専門用語を「バズワード(buzzword)」というが、IT業界はこのバズワードであふれている。しかし、バズワードには既存概念に新しい名前をつけただけのものもある。今回は、バズワードにまつわる法則を取り上げる。 「新しい酒は新しい革袋に」入れるべきではあるが、「新しい酒」が古い酒と同様ならば、「新しい革袋」を用意するのは無駄である。 流行語のような専門用語を「バズワード(buzzword)」というのだそうだ。 IT業界はバズワードであふれている。以前からある用語と同じような概念なのに、あたかも新しい概念であるかのように新しい名前をつけて、商売にする連中もいる。 新用語の中には長期的に重要な概念として定着するものもあれば、一時的な流行で忘れ去られるものも多い。米ガートナーは、バズワードの栄枯盛衰を「ハイプ曲線(hype-cycle)」によりモデル化している。 将来発展するものに関心
日経マーケット・アクセスが企業情報システム担当者を対象に,2009年6月に実施した調査で国内の主な情報通信製品/サービス・ベンダーへの満足度を聞いたところ,「データセンター・サービス(ASP,SaaSを含む)」分野の満足率(算出方法は下の「■調査概要」参照)は,「価格(料金)」,「性能・機能」,「サポート・サービス」の3評価項目とも,セールスフォース・ドットコム(SF.com)がトップを占めた。 前回2009年3月調査では「価格」の満足率でSF.comに5.5ポイント差を付けてトップだった米Google(Google App Engine,Google Apps)は,今回もほぼ前回と同じ満足率(前回32.8%→今回32.7%)を得たものの,前回調査より約8ポイント・アップしたSF.com(前回27.3%→今回35.1%)に抜かれて2位に後退。SF.comは「性能・機能」でも前回調査より約1
ローソンは2008年から「ローソン3.0」と呼ぶ次世代IT(情報技術)システムの構築を順次進めている(関連記事1、関連記事2)。初期投資額は約400億円を見込む。 全国に約8600店ある店舗と本部、取引先の情報連携を強化。店舗発注の精度向上や商品開発・仕入れなどに鮮度の高い情報を生かせる体制を整える。2008年末から設置を始めた最新型店頭端末「赤いLoppi(ロッピー)」など、ローソン3.0は少しずつ姿を現し始めた。 これを指揮する横溝陽一・常務執行役員CIO(最高情報責任者)ITステーション ディレクターは2007年4月にローソンに入社したばかりだ。「深刻な消費不況が続いており、継続的に経営改革をしなければ生き延びることができない」と厳しい口調で語る。ローソン入社前は、米系サプライチェーン管理(SCM)ソフト会社のi2テクノロジーズ・ジャパン(東京都渋谷区)で社長を務めていた。外部の目か
この前、国産メーカーのクラウド戦略の弱点について“お金”の面から分析した。では、ハードウエアを持たないITサービス会社の場合はどうか。さらに絶望的? そうとも言えるし、そうとも言えない。少し冷静に考えてみる。自社で資産を持ってクラウド・ビジネスに乗り出すのは、確かにかなり厳しいが、ほかの道もある。 これまでのITサービスって、資産の所有の面からは2分類しかなかった。顧客がIT資産を持つ場合と、ITサービス会社が持つ場合である。情報システムを顧客が保有する場合、システムを開発して納め、時には保守・運用サービスも引き受ける。ITサービス会社がシステムを保有する場合は(フル)アウトソーシングである。で、この2分類で考えるからクラウド・ビジネスの難易度は高くなる。 クラウド・ビジネスはこの2分類で考えると、言うまでもなくITサービス会社がIT資産を保有する形態のビジネスである。そのビジネスモデルは
NetApp社のクラウド戦略についての続きです。 クラウド事業者あるいはインターナルクラウド(この言葉についてはいろいろありますので別記事で書きます)を展開する一般企業向けにストレージのソ リューションを売ることにフォーカスする(つまり自社ではクラウド事業はやらない)というNetApp社の戦略はシンプルであり妥当であると考えます。 しかし、ここでのポイントとなるのは差別化の方法です。あらゆるハードウェアベンダーについて言えることですがクラウドの世界では安価なコモディ ティテクノロジーを大量に使って「規模の経済」を出すことが重要となりますので、ハードで差別化するのは根本的に難しいと言えます。Googleなどはそ もそも外部ストレージすら使っていないと推定されます(独自サーバの内蔵ディスクをファイルシステムレベルで抽象化して大容量/高信頼性のストレージ空間 を実現している)。 ということで、N
本研究所では、クラウドコンピューティングについて、モバイルソリューションの観点から企業の情報システムを考えます。第1回は、コスト削減の観点からIT部門およびITコストが格好のターゲットになり得ることに言及しました。今回からは、クラウドとモバイルの関係についてより深く探っていくことにします。今回はクラウドの価値と意味について掘り下げます。 本連載の開始後に、いくつかの講演機会がありました。「ワークスタイルの変化に伴い共有すべき情報」や「モバイルクラウド時代のベンダーの勝機」などがテーマです。そこでお話しした内容への反響やいただいたご意見から、あらためてクラウドへの興味の高さ、およびクラウドに伴うワークスタイルの変化に関する興味と畏怖心?が大きなことを痛感しました。 経営者にとってのクラウドの価値とは? そうしたなか、経営者あるいは経営幹部の方々との討議では、様々な意見を頂戴します。「クラウド
昨日はITpro主催のイベント「ユーザー企業のためのエンタープライズ・クラウドフォーラム」に参加してきました。 日経コンピュータ 中田敦記者のセッション「みえてきたクラウドのコスト」では、グーグル、アマゾン、マイクロソフトの最新データセンターの動向を紹介してくれたのですが、これが非常に興味深い内容でした。セッションの内容からトピックを2つほど紹介します。 大規模データセンターは7倍効率がよい 1つ目は、日経コンピュータ2009年7月8日号で同記者が記事としても書いていることなのですが、データセンターの規模の経済について。1000台クラスの中規模データセンターと、5万台クラスのデータセンターを比較すると、大規模データセンターのほうが7倍も効率がよいというデータが示されています。 つまり、ユーザーがある大きさのコンピュータリソースを調達しようとするとき、大規模データセンターは中規模データセンタ
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