自社の顧客もまだ十分に獲得できていないのに、なぜ敵に塩を送るようなことをするのか――。 そう問いたくなるようなマーケティング戦略を愚直に実行し続けている新電力がある。ちょうど1年前、既存の大手電力や大手新電力が料金競争を繰り広げる中で「価格競争終了宣言」をぶち上げた、みんな電力(東京都世田谷区)だ。 みんな電力は、「ENECT(エネクト)」と呼ぶ情報サイトを自ら運営している。いわゆる「オウンドメディア」でライバルの新電力の取り組みを中心に、幅広く電力業界の最新ニュースを連日公開している。 オウンドメディアは、自ら情報発信力を高めることで顧客との接点を強化できるとして、消費財や食品、化粧品、サービスなど幅広い業種の企業が開設している。食品やキッチン家電メーカーによるレシピサイトは、オウンドメディアの一例だ。 自社製品を用いた多様な料理レシピや調理法を提案することで、競合がひしめく製品やサービ