本連載では、女性の生き方、とりわけ働き方についての歴史を振り返ってきました。 ナポレオン法典から続くフランスの民法や明治民法など、当時としては先進的な法体系でも、「女は無力で夫の所有物」という趣旨の規定が20世紀半ばまで残存したのです。 そうした「差別」が温存された最大の理由は、労働社会を男性が牛耳り、女性は食い扶持を確保することが難しかったことにあるでしょう。事実上、ほんのつい最近まで、女は働けず、男にすがるしかありませんでした。 そして、なんと、トルストイやエレン・ケイ、平塚らいてうなど当時の開明的な識者が、「女は家に」という差別を、しきりに唱導していたのです。 ただ、女性が働けるようになれば、男にすがる必要はありません。当然、明治民法やナポレオン法典のテーゼは壊れます。この基本原理を、100年も前に声高に叫んだのが与謝野晶子でした。 そうして、平成になると徐々に女性は家庭から解放され
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