紙を壁などに留める画びょう。岐阜県の方言では「ガバリ」と呼ぶが、そもそもなんでそう呼ぶの? そんな素朴な疑問に、近現代史研究者の木村源知(げんち)さん(42)=仙台市=が一つの答えを示した。「ガバリ」は本来「画針」と書き、明治期に西洋から画びょうが輸入された際、「drawing pin」(描画用のピン)の訳語として考え出されたのだという。(川添智史)
江戸時代の小浜藩医、杉田玄白が中心となって翻訳した「解体新書」が1774(安永3)年に出版されてから250年を迎えることを記念して、小浜市の県立若狭歴史博物館で特別展「杉田玄白の挑戦」が開かれている。8月18日まで。県内外から集められた解体新書など、70点の貴重な史料を展示している。 特別展では解体新書4組、重訂解体新書2組が並び、複製に手を触れることもできる。実物大の仏製人体解剖模型が2体あり、臓器のリアルな形が分かる。...
「パリサク」「ザクホク」…。コンビニやスーパーの商品で、よくこんな表現を見かける。「オノマトペ」と呼ばれる擬態語、擬音語だ。子どもが好んで使う印象が強く、学問分野でも軽んじられる傾向にあったという。「でも実は非常に高度な日本語なんですよ」。オノマトペを研究して20年を数える名古屋大大学院人文学研究科准教授の秋田喜美さん(42)はこう語る。その心は-。
元岐阜女子大教授で方言研究者の神田卓朗(たくお)さん=岐阜市=が、同市鏡島南の市立岐阜商業高校で岐阜弁などの方言に関する出前授業をした。全校生徒約470人を前に、岐阜弁の特徴をクイズなどを通して紹介した。 元民放アナウンサーでもある神田さんは、岐阜、愛知両県と関西、東京のアクセントの違いを実演。「ありがとう」では、岐阜と愛知では「が」を強調するのに対し、関西では「と」に、東京では「り」にアクセントを置くとして、流ちょうな発音を披露した。...
小浜・若狭歴史博物館 江戸時代の小浜藩医、杉田玄白が中心となって翻訳した「解体新書」が1774(安永3)年に刊行されてから250年を迎えることを記念して、小浜市の県立若狭歴史博物館で特別展が7月20日~8月18日に開催される。県内外から集められた解体新書など70点の貴重な史料が展示される。 (本田英寛) 解体新書刊行250年事業実行委員長の小西淳二さんが、同博物館で会見し「解体新書は教科書で習うが、実物を見ることは少ない。今回、本物を集めたので見てもらいたい」と話した。特別展では解体新書4組、重訂解体新書2組が展示され、複製に手を触れることもできる。 今回の展示では、玄白1人で翻訳したと思われがちの解体新書が、同じ小浜藩の中川淳庵(じゅんあん)らのチームで翻訳されたことにも焦点を当てる。会期中無休で一般400円、高校生300円、小中学生200円。(問)県立若狭歴史博物館=0770(56)0
これまで戸籍に記載がなかった氏名の振り仮名を必須とする改正戸籍法が来年施行される。施行後は、全国民が振り仮名の届け出を求められ、届けがなければ自治体が職権で戸籍に振り仮名を記すことになる。いわゆる「キラキラネーム」には一定のルールも設けられるが、マイナンバーカードの普及を背景に進む大改正には、じわり懸念の声も。あなたの名前はどうなる? (安藤恭子)
愛知県豊橋市で1950年代に見つかり、国内最古の化石人骨とされた「牛川人骨」が、クマの骨である可能性が高まっている。東京大総合研究博物館の諏訪元・特任教授(自然人類学、古人類学)を中心とする研究チームが、CTで骨の内部構造を解き明かした。学術論文にまとめ、正式に発表する方針。「人骨」とPRしてきた市教委も訂正を検討している。 牛川人骨は57、59年に同市牛川町の鉱山から1片ずつ見つかり、当時は「国内最古の人骨」と推定された。日本史の教科書にも掲載された。その後、「ヒトの骨と判定できる特徴を備えていない」などと人骨説を疑問視し、他の動物の骨との見方が広がったが、その正体は謎に包まれてきた。
名古屋短期大(愛知県豊明市)の小出祥子(よしこ)准教授と2022、23年度のゼミ生12人が編集したオタク用語辞典「大限界」(1540円)が11月21日、三省堂(東京)から出版された。発売が発表された10月24日には予約段階で、Amazonの本・総合部門のランキング1位になり、発売前から重版が決まるなど、注目を集めている。 学生たちの会話で使われているオタク用語の豊かさに気付いた小出さんが、ゼミで辞書を作ることを考えたのがきっかけ。22年度のゼミ生がまず同人誌的な冊子を作り、大学祭で発売。本紙など多くのメディアが報道したところ、出版社の目にとまり、最終的には辞書大手・三省堂からの出版が決まった...
全国的に知られるわらべ歌の「通りゃんせ」は昔から謎めいた歌詞を巡ってさまざまな説が飛び交っている。最近ではテレビ番組で冒頭に出てくる「通りゃんせ」のフレーズが実は名古屋弁で、歌詞の中に全国各地の方言はちりばめられていると指摘された。実際にはどうか。尾張地方の方言に明るい識者に見解を求め、改めて「通りゃんせ」の発祥地などを探る。(鶴田真也) ◇ ◇ ◇ 【「通りゃんせ」の歌詞】 通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの 細道じゃ 天神さまの 細道じゃ ちっと通して 下しゃんせ 御用のないもの 通しゃせぬ この子の七つの お祝いに お札を納めに まいります 行きはよいよい 帰りはこわい こわいながらも 通りゃんせ 通りゃんせ
模造紙を何と呼びますか? 2021年2月に掲載された、ほぉ~げんワードの初回の記事です。愛知ではB紙が圧倒的という結果でしたが、同様の学校に関する方言が愛知にはあります。「放課」です。 愛知で放課と言うと授業の間の休み時間を指します。そして全国的に授業が終わった後を表す「放課後」という言葉はあまり使われません。授業になってしまうからです。 今回は放課に関連して、「小学校で2時間目と3時間目の間にある、20分程度の休み時間」を何と呼ぶか、インターネットの読者アンケート「中日ボイス」で聞きました。 愛知では「20分放課」が大多数という結果に。他に「長休み」などの呼び方がありましたが、全体では「20分休み」と呼ぶ人が多いようです。 B紙や放課のように、学校で主に使われる方言は「学校方言」と呼ばれたりしています。広くとらえれば「トキントキン」や「ケンケン」のように鉛筆の先の鋭さを表す方言も含まれ
擬音語などのオノマトペを出発点に言語の習得や進化の謎に迫る新書『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)が好調だ。5月下旬に刊行され、3カ月で発行部数は5刷り、計14万2千部。人工知能(AI)が注目を集める中、言語を入り口に「人間とは何か」を考える一冊として手に取られている。 著者は慶応大環境情報学部の今井むつみ教授(発達心理学)と名古屋大文学部の秋田喜美准教授(認知・心理言語学)。擬音語「ワンワン」や擬態語「チクリ」、擬情語「わくわく」などがオノマトペ。15年ほど共同研究を続けてきた2人は、「音から意味がある程度分かる上に、言葉を覚え始めた子どもにも伝わる」というオノマトペ...
各地で方言が消えつつある中、阿久比町福住の大村浩嗣さん(83)が昔の阿久比の言葉を残そうと、「ぼくが、見た、聞いた、話いた あぐいの言葉」を出版した。(内山陽貴) 大村さんがこれまでに見たり聞いたりした言葉約千五百語を五十音順で紹介。父や祖父母ら地域の人たちが使っていた言葉を参考にした用例や、町の歴史や昔の暮らしなどに触れた解説も載せる。例えば「だちかん」は「だめ、いけない」の意味。「てまがえ」は、忙しい農作業を互いに手伝い合うことを表す。...
ロシアの文豪ヒョードル・ドストエフスキー(一八二一~八一年)の長編小説五作を新訳した名古屋外国語大(日進市岩崎町)の学長で、ロシア文学者の亀山郁夫さん(74)が七月三十一日、「ドストエフスキーとの十七年」と題して同大で講演した。 亀山さんは二〇〇六年からドストエフスキー最後の長編小説「カラマーゾフの兄弟」の新訳に取り組み、以後十七年にわたって「罪と罰」「悪霊」「白痴」「未成年」を翻訳。「五大長編」と呼ばれる代表作すべての新訳を、光文社古典新訳文庫から刊行した。 講演会は同大が主催し、約百三十人が聴講した。亀山さんは中学三年で「罪と罰」を読み、大学時代も原文を通してドストエフスキーに没頭したという。その後の研究生活でスターリン時代の文化人の研究などに励んだが、〇一年に米国同時多発テロのニュースを見て衝撃を受け、再びドストエフスキーに向き合うことに。「未曽有の体験をどう言語化できるのか。思い出
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く