香港で「逃亡犯条例」改正反対デモに端を発する大規模な抗議活動が始まってから、半年が経つ。この間、香港政府による「逃亡犯条例」改正案の正式撤回(9月14日)、大学キャンパスを舞台とする警察と学生の激しい衝突(11月半ば)、区議会議員選挙における民主派の圧倒的勝利(11月24日)と、事態はめまぐるしく動いてきたが、香港の人びとの「反乱」(倉田2019)が収束するめどはいまだ立っていない。この半年の間に逮捕拘束された人は6022人に達し、警察が発射した催涙弾の数は1万6000発に達した(2019年12月9日現在)。 世界が香港情勢を注視するなかにあって、香港人の苦悩にとりわけ心を寄せ、支援を行ってきたのが、台湾の人びとだ。蔡英文総統は国際社会に対して香港の自由と法治のための行動を呼びかけた。桃園市のような地方レベルでも香港からの移民支援に関する議論が始まっている。大学でも、香港からの学生の短期受
今年の2月に『死ぬ権利はあるか―安楽死、尊厳死、自殺幇助の是非』(春風社、2019年)を出版した。580頁と少しぶ厚い本になったが、これを丸ごとかけて、人の死期を早めたり、生命を維持しなかったりすることの是非について論じた。具体的に取り上げたのは、主として、臨床で生じるケースである。いわゆる安楽死、尊厳死、医師による自殺幇助などと呼ばれる一連の医療者のふるまいに焦点を当てた。 本書の主題にかんして、国内での議論がとくに活発になったのは、二〇〇〇年代の前半からだろう。北海道や神奈川県、富山県など、国内各地の病院で、人工呼吸器などの医療の使用を中止して患者を死なせたとして、医師の逮捕されるケースが相次いだ。 また、同時期にはベルギー、オランダ、ルクセンブルクのベネルクス三国や、アメリカ合衆国内の複数の州で、患者の死期を早めるために致死的な薬物(バルビツール酸や筋弛緩剤)を処方あるいは投与するこ
<中国共産党が初めて、「データ」を労働や資本と並ぶ「生産要素」として挙げた。これは、AIの「エサ」となりその利便性を最大限に引き出すデータのことだ。14億人のデータと起業家精神で、5年後にはアメリカに追いつくとも言われる。そこで日本は?> 今年10月末に開催された中国共産党の四中全会の決議のなかに面白い一節があった。 「労働に応じた分配を主体とし、さまざまな分配の方法も併用する。労働者、特に第1線の労働者の報酬を増やす。労働、資本、土地、知識、技術、管理、データなどの生産要素の貢献を市場で評価し、その貢献に応じて報酬を決めるメカニズムを健全なものにする。」 この一節がなぜ面白いのかを説明するためには、経済学史のおさらいに少々お付き合いいただかなくてはならない。 マルクスは労働が商品の価値の唯一の源泉だと考えた。資本家は資本を出す見返りに利益を得るし、金融業者は金を貸す見返りに利子を得るし、
「中村喜四郎」という名を聞いて何を思い浮かべるだろうか。もはやかすかな記憶…「なにか汚職で捕まった人じゃなかったかしら」。若い人たちなら思い出す記憶もなく「だれ?」というだろう。 その「キシロー」の名を最近なぜか、チラチラと見かけるのである。それも思いがけないところで。「え?このキシローさんは、あのキシローさん?」 中村喜四郎氏は1949年生まれ。大学卒業後に田中角栄事務所に入り秘書となり、27歳の時に旧衆院茨城3区で初当選。メキメキと頭角を表し、その後1987年に田中派が分裂すると経世会(竹下派)の結成に参加、翌年には若くして派閥の事務局長、さらには40歳の若さで初入閣し、戦後生まれ初の閣僚となった。その後は42歳で建設大臣。実力はもちろん、その男前な風貌も相まって名実ともに建設族のプリンスと謳われた。「小沢の次」「いずれは総理も夢ではない」とメディアからももてはやされた人物である。 が
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