人が死んでいる。食べ物がなくて、薬がなくて。今、私たちの隣国・北朝鮮で起こっている現実である。 6月に入って以降、北朝鮮の人々の暮しが、堰(せき)が切れたように悪化している。その実情がほとんど世界に伝わって来ないのがもどかしい。金正恩政権が新型コロナウイルス対策のために国境を閉じて人の出入りがなくなり、情報が出てこなくなったからだ。筆者は北朝鮮に搬入した中国の携帯電話を使って、何とか取材協力者たちと連絡を維持しているが、現況は、アジアで最悪の人道危機にあると判断している。 関連記事 <北朝鮮内部>6月に入り飢えが一気に深刻化、なぜ? 「栄養失調で出勤不能、山菜食べ死亡も」 金正恩時代で最悪 ◆過剰なコロナ統制で暮しに大打撃危機の原因は中国との国境を封鎖して貿易が激減したこと、そして、国内の移動と商行為を厳しく統制したことにある。今北朝鮮は、まるで戒厳令下にあるような状態だ。 貿易と市場の大