国書刊行会<ドーキー・アーカイヴ>シリーズの1冊。 一風変わったマイナー小説を集めているこのシリーズですが、この『アフター・クロード』はその中でもなかなか強烈な印象を与える作品。 著者の分身とも言える主人公のハリエットが「捨ててやった、クロードを。あのフランス人のドブネズミ」という出だしから、ひたすら周囲に対して悪態を付き続けるような小説です。 とにかくこの悪態が見事で、冒頭のパゾリーニの『奇跡の丘』への酷評から始まり、ハリエットは出会う人物と周囲に対して速射砲のように悪態をつき続けます。 ひたすら悪態がつづく小説というと、トーマス・ベルンハルト『消去』が思い出されますが、ベルンハルトが厭世感が突き抜けてユーモアになっていくのに対して、こちらは悪態の瞬発力が見事。 ベルンハルトは自意識に捕われた滑稽すれすれの深刻さ、あるいは深刻さをはみ出してしまった滑稽さを描いているわけですが、オーウェン