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ブックマーク / riversidehope.blogspot.com (29)

  • 「中国がくしゃみをすると,世界に嵐が起こる」,それが鉄鋼業

    中国の鉄鋼過剰、世界揺るがす-業界全体が窮地に陥る恐れ」という記事がブルームバーグから配信されている。なぜ中国という一国の過剰生産が世界を揺るがすからというと,規模がバカでかいからである。 中国は世界の鉄鋼生産の半分を占める超製鉄大国だ。2024年の生産量は不況が続くとしても10-11億トンになると予想できる。 そして,2024年の中国からの鉄鋼輸出は1億トンを超える可能性がある。これは,前回,貿易摩擦を激しくした2015年の1億1200万トンと同水準だ。 ただ,10億トン生産して1億トン輸出するというのは,10%の輸出比率にすぎない。過剰能力を抱えて輸出ドライブをかけると言っても,内需9億トンの方が需要の中心だ。日鉄鋼業の輸出比率が40.6%に達することを考えれば,その低さは明らかである。おそらく中国の鉄鋼企業からしてみれば,輸出が主力市場にしているという感覚はないだろう。 しかし,

    kaikaji
    kaikaji 2024/08/26
  • なぜ,まず賃上げをしなければならないか。まず生産性を上げようという発想のどこがまずいのか

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 まず付加価値生産性を高めて賃金原資をつくり出して賃上げしよう,そのことに政策の重点を置こうという意見は根強い。この記事で奥平寛子氏が述べるのも,その一つのバージョンだ。氏は言われる。「労働市場の流動化がすぐには進まないことを前提とすると、成長分野での資蓄積やイノベーションを促す投資減税などの政策が求められる。労働者あたりの付加価値が増えれば実質的な賃上げが進むだろう。」 だが,21世紀に入ってからの20年余り,何が起こって来たのかをよく考えよう。異次元とか超のつくほど金融は緩和されてきた。研究開発減税も行われた来た。企業の売上高経常利益率はバブル以前に劣らない水準だ。

    kaikaji
    kaikaji 2023/01/22
  • 国家が所有し,党が支配するが,資本である「党国家資本」:中屋信彦『中国国有企業の政治経済学:改革と持続』名古屋大学出版会,2022年を読んで

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 中屋信彦『中国国有企業の政治経済学:改革と持続』名古屋大学出版会,2022年を読了。他の仕事の合間,合間で読んだために時間はかかったが,読んでいる時はすらすらと読み進むことができた。これは,すらすら読み進めた理由を考えながらの感想である。やや個人的事情に基づくところがあることをお断わりしておく。 私は中国鉄鋼業研究者であっても,中国経済・社会全体に向き合う地域研究者ではない。しかし,中屋氏が描き出した,政府ー国有有限会社ー株式会社という国有企業の所有構造と,その人事を背後から中国共産党が支配する構造には,すんなりと納得がいく。その理由は,もちろん,中屋氏が豊富な資料を動

    国家が所有し,党が支配するが,資本である「党国家資本」:中屋信彦『中国国有企業の政治経済学:改革と持続』名古屋大学出版会,2022年を読んで
    kaikaji
    kaikaji 2022/12/31
    "国有企業は,国家が所有し,党が間接支配する所有・支配構造をもっている。しかし,利潤追求のメカニズムは改革が進むにつれて,強く作動するようになっている。したがって,その性質は「党国家資本」だ"
  • 2つのブロックへの世界の分裂は,経済をどれほど落ち込ませるか:IMFの警告

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 IMF, Regional Economic Outlook for Asia and Pacific, October 2022(アジア太平洋地域経済見通し,2022年10月), Chapter 3 Asia and the Growing Risk of Geoeconomic Fragmentation(アジアと,地経学的分断のリスク)を読んだ。 IMFは国際貿易の分断に関するシナリオ分析を行っている。各国は2022年3月2日の国連総会におけるロシアウクライナ侵略非難決議への態度をもとにロシア,反対国(ベラルーシ,北朝鮮など5か国),賛成国(141か国),棄権国

    2つのブロックへの世界の分裂は,経済をどれほど落ち込ませるか:IMFの警告
    kaikaji
    kaikaji 2022/11/13
    "「ロシア・デカップリング」だけならば世界とアジアへの影響はほとんどない" "「2つのブロックへの分裂」では対象が「ハイテク・エネルギー」だけであっても世界のGDPは1.2%, アジア・太平洋諸国のGDPは1.5%落ち込む"
  • 資本主義は私的領域まで商品化・市場化し,経済的ユートピアと人間関係のディストピアを築くのか:ブランコ・ミラノヴィッチ『資本主義だけ残った』最終章によせて

    主義は私的領域まで商品化・市場化し,経済的ユートピアと人間関係のディストピアを築くのか:ブランコ・ミラノヴィッチ『資主義だけ残った』最終章によせて 学部ゼミでブランコ・ミラノヴィッチ(西川美樹訳)『資主義だけ残った』(みすず書房,2021年)を読み通した。色々と論点はあったが,ここでは最終章の「資主義は私的領域まで商品化・市場化し,経済的ユートピアと人間関係のディストピアを築くのか」という問いを考えてみたい。話が大きすぎて明快な切り口を設定するのが難しいが,それでもいくつか考えてみたい。 *資家のジレンマ ミラノヴィッチは,資主義経済が成長し続けていることには何の疑問も持っていないようである。しかし,資主義は,成長すればするほど,投資・消費し切れないほどの所得を生み出してしまう。この,成長の果ての停滞というケインズ的問題が全く落ちていて,成長は成長を呼ぶかのように論じるとこ

    資本主義は私的領域まで商品化・市場化し,経済的ユートピアと人間関係のディストピアを築くのか:ブランコ・ミラノヴィッチ『資本主義だけ残った』最終章によせて
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    kaikaji 2022/08/20
  • ソ連の対日参戦や千島列島占拠は悪くないが原爆投下は罪だというロシア政府の見地について

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 BBCの報道によれば,ロシアのペスコフ報道官は,バイデン米大統領がプーチン大統領を「戦争犯罪人」と呼んだことについて,「すでに敗北した国-広島と長崎のことだが-に原爆を落とした国の元首には,そのようなことを言う権利はない」と非難した。いわゆる「どの口が言うのか」論である。 この発言は二つの,まったく逆の方向から注意が必要だと思う。 一つ目,ロシア政府は,ソ連が日ソ中立条約を破って対日参戦したことを悪いと思ってはいないし,日戦争で分捕ったわけでもない千島列島を放棄させるようなヤルタ密約を結び,実際に千島列島を占拠して実効支配していることも(※),まったく悪いと思ってい

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    kaikaji 2022/03/21
  • MMTを含む信用貨幣論が「債務を増やす」というのは「手形を切ること」であり,「誰かの持っているお金を借りること」ではない:生産的討論のための解説

    MMTを含む信用貨幣論が「債務を増やす」というのは「手形を切ること」であり,「誰かの持っているお金を借りること」ではない:生産的討論のための解説 MMTを含む信用貨幣論について議論すると往々にしてい違いが生じるのは,「債務を増やす」と言う時にイメージしている行為が異なるからだと思う。ここがボタンの掛け違いを生み,生産的な議論を困難にし,支持者と反対者が互いを非常識扱いするもとになる。この投稿は,このい違いの理由を解きほぐした上で,信用貨幣論が「債務を増やす」ことをどのように理解してるかを説明することを目的としている。 たいていの人は,「債務を増やす」と言う時に,「誰かが持っているお金を借りる」ことをイメージする。しかし,信用貨幣論が言っている「債務を増やす」とは,「手形を切る」ことである。信用貨幣とは,広範に流通することができて期限が特定されていない手形の一種である。 手形を切って何が

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    kaikaji 2021/11/25
  • 行き過ぎた財政赤字が悪性インフレを招く理由は、「貯蓄を吸収するから」なのか:標準的マクロ経済学と信用貨幣論(MMTを含む)の対比

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 *課題:財政赤字をどこまで拡大すると悪性インフレになるのか 財政赤字とは,政府が債務を背負ってでも財政支出を拡大することを意味する。それが必要なのは,失業減少,景気回復や,市場メカニズムでは達成されない社会的目標の実現のために必要とされるからである。だから財政赤字には望ましい効果があるが,望ましくない効果もある。後者があまり大きくなった場合は,それ以上財政赤字を拡大すべきではない。望ましくない効果に含まれるのは,成長率を上回る金利による債務の発散,悪性インフレ(※1),バブル,為替レート急落である。ここまでは,ほぼすべての研究者,実務家にとって共通了解である。 では,ど

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    kaikaji 2021/11/25
  • 「目の前には資本主義しかない」:ブランコ・ミラノヴィッチ(西川美樹訳)『資本主義だけ残った:世界を制するシステムの未来』は何を語るか

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 ブランコ・ミラノヴィッチ(西川美樹訳)『資主義だけ残った:世界を制するシステムの未来』みすず書房,2021年。書は,骨太な現代資主義論であり,様々な角度から検討すべき論点を含んでいる。一度に整理できないので,何度かに分けてノートしたい。 まず今回はタイトルについて。現代はCapitalism, Alone: The Future of the System That Rules the Worldである。このメインタイトルに「だけ残った」というニュアンスはあるのだろうか。「だけ残った」というのは,端的に「社会主義が消えて」ということのように思えるのだが,書の趣旨

    「目の前には資本主義しかない」:ブランコ・ミラノヴィッチ(西川美樹訳)『資本主義だけ残った:世界を制するシステムの未来』は何を語るか
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    kaikaji 2021/08/04
  • 新ウルトラマン(現:ウルトラマンジャック)はいつ初代ウルトラマンと別人になり,いつウルトラ兄弟になったのか

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 『帰ってきたウルトラマン』最大の謎。それは,なぜ「帰ってきたウルトラマン」なのに初代ウルトラマンと別人なのか,逆になぜ別人なのにウルトラマンが「帰ってきた」ことにされているのかである。さらに,その設定はいつからできたのか,当時の視聴者は別人だと認識していたのか,ウルトラ兄弟という設定はいつできたのかという事である。 この度,白石雅彦氏『「帰ってきたウルトラマン」の誕生』を上梓されたことで(画像),私はこのタイトルと別人設定の謎がついに明かされるかと期待していた。結果,確かに明かされたはしたが,その経過は期待したほど詳細には書かれていなかった。前作『「怪奇大作戦」の挑戦』

    新ウルトラマン(現:ウルトラマンジャック)はいつ初代ウルトラマンと別人になり,いつウルトラ兄弟になったのか
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    kaikaji 2021/05/13
    研究者のお手本のような記事。
  • 「私営」でも「国有」でもない「共有企業」という改革案:張春霖「企業所有制の伝統的概念を改める必要について」を読んで

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 張春霖「企業所有制の伝統的概念を改める必要について」『財新』2021年2月19日。 正しく読めたかどうか自信はないが(→留学生に確認したら大丈夫とのこと),著者はおおむね以下のように主張している。 中国における「公有」「非公有」の二分法は単純に過ぎるので,三分法にすべきである。自由放任資主義や完全な社会主義と異なり,現代の市場経済では個人の貯蓄が大量に形成されている。それらは,何らかの機構に委託されて投資されるが,受託者は利益に対する排他的な権利を保有している。こうした金融仲介を行う企業,すなわち民営であれ公共管理の下にあるのであれ養老基金,保険会社,商業銀行,投資

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    kaikaji 2021/03/01
  • 日銀がETFで損失を出すとはどういうことか:日銀のETF購入(3)

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 (「日銀のETF購入」。承前)これまで,日銀が自ら作り出す預金と日銀券でETF(指数連動型上場投資信託)を購入していることを確認し,このオペレーションは実質的には特定企業の利害に日銀がコミットする財政政策であることを述べてきた。次の問題は,日銀がこのETFで損失を出した場合の負担をどう評価すればよいのかだ。 1. まず,直接の損失が政府・国民にどう及ぶかだ。ETFに含み損が出れば,日銀はバランスシートの負債・純資産側に引当金を積む。損失を確定する場合には,資産側からETFを,負債・自己資側から引当金を同額だけ消去しなければならない。つまり,日銀のバランスシートが毀損さ

    kaikaji
    kaikaji 2020/04/18
    【川端望】"最大の問題はこの,失われた機会である。ETFなど買わない方が,財政民主主義上も市場経済の運営上も望ましかった。日銀と中央政府を合わせた統合政府として見た場合,「お金の使い道を誤った」のである”
  • 日銀のETF購入は上場企業優遇の財政政策ではないのか:日銀のETF購入(2)

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 (「日銀のETF購入」承前)さて,日銀が自ら通貨を作り出して金融商品を購入していることはお分かりいただけたと思う。それでは,ETF(指数連動型上場投資信託)を購入することは,日銀の他のオペレーション,つまり銀行に貸し付けたり国債を購入したりすることとどのように違うのだろうか。日銀がETF,つまりは間接的にとは言え民間企業の株式を購入することは,金融政策の一環と認められるものなのだろうか。 貸出・国債購入とETF購入と直接の違いは,銀行に貸し付けたり国債を購入したりするのは「信用を与える」,端的には「お金を貸し付ける」行為だというであるのに対して,金銭信託をしてETFを購

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    kaikaji 2020/04/18
    【川端望】”日銀というクジラ投資家が買う一方で,議決権を眠り込ませることは,株式市場を歪め,日本の企業統治を歪め,上場企業とそれ以外の間に甚だしい不公平を作り出す”
  • 日本銀行がETFを買うお金はどこから来るか?:日銀のETF購入(1)

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 2019年度もETF(指数連動型上場投資信託)購入は続き,2020年3月20日現在の帳簿価額は29兆3955億円に上っている。これはアベノミクス開始直前の2012年12月20日と比べると実に20倍である。バランスシート全体も,主に大量の国債購入により3.8倍に膨らんでいる。このETFが,いま株価の低落の下で含み損を発生させているのだ。しかし,日銀が含み損を出すとはどういうことなのか?それはいわゆる国民負担や税金での穴埋めの対象になるのか?これを知るには,ETFを日銀が購入する仕組みを知っておかねばならない。 日銀は,信託銀行に金銭信託を行い,信託銀行がETFを購入してい

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    kaikaji 2020/04/16
    【川端望】
  • 「コロナ危機は需要ショックなのか供給ショックなのか?」という記事の内容が全く理解できないことについて

    kaikaji
    kaikaji 2020/04/13
    【川端望】"なぜ「働けなくなった労働者がいることは所与として」,その労働者の貯蓄・消費行動から供給ショックか需要ショックかなどと考えるのか。まったくわからない。働けなくなった理由のところで判定すべき"
  • 帰国者の空港からの移動を自己責任に任せるのは、感染を拡大する最低最悪の政策。政府は統一指揮のもとに帰宅と健康観察の支援を

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 ここ数日間の新型コロナウイルス感染の動きでは、明らかに外国から帰国した人々の感染が増えている。したがって、帰国者に各自十分な健康観察行動をとっていただくこと、その足取りを確認できるようにしておくことは非常に重要だ。 ところが政府は「水際対策の抜的強化」をいいながら、帰国者の検疫はするものの、健康観察は人任せであり、昨日まで何も支援して来なかった。とくに危険なのは、空港から自宅等への移動についてタクシーを含む公共交通機関の使用を禁止しておきながら、移動手段を見つけられずに困っている人を放置していたことだ。これでは、せっぱつまった人がこっそりタクシーや電車に乗るのは当た

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    kaikaji 2020/03/28
    【川端望】「事実上は感染拡大を促進し見えないクラスターを発生させる危険を高めている。帰宅手段確保を自己責任に任せ無支援でいることは今この瞬間最低最悪の政策である」全面的に賛成します。政府は早く対策を!
  • 中国政府が無症状者を感染者数にカウントしていないことについて

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 時事が,中国で多くの無症状者が感染者にカウントされていないと香港紙からの孫引きで報じているが(シェア先),それは以前から分かっている話で,また中国も秘密にも何もしていない。例えば,中国が無症状者を感染者数に含めないことについて,2月にはNatureでもその適否が議論になり,3月初旬に日でも報じられた(※1,※2)。 また,もともとのSCMP紙の記事(※3)は中国政府が感染者数を過小表示してけしからんと非難しているのではない。感染者のうち無症状者はどのくらいの割合なのかを推計することの難しさを論じた記事だ。その材料の一つとして,無症状者の扱いが国によって異なることが指摘

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    kaikaji 2020/03/26
    【川端望】「もともとのSCMP紙の記事(※3)は中国政府が感染者数を過小表示してけしからんと非難しているのではない。感染者のうち無症状者はどのくらいの割合なのかを推計することの難しさを論じた記事だ」
  • PCR検査の話だけを議論するのは適切でない。肝心なのは感染不安や風邪・肺炎の苦しみを軽減すること

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 PCR検査について、もっとやれという人は政府を非難し、重症者特定とクラスター追跡でよいという人はもっとやれと言う人を非難にする。政策を誤らせないために議論することは必要だが、検査の話だけに限って延々とやるのはのは適切でない。 見なければならないのは、感染したと特定されていないが、風邪・肺炎症状の人、自分や家族が感染したかもしれないと不安に思っている人がたくさんいるということだ。この人たちを支援するための議論をもっと増やすべきだ。 検査をもっとやって感染者を見つけろと言うならば、多くの人が軽症の感染者と認定されたときにどう治療するのかを、あわせて言うべきだ。病床が足りなく

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    kaikaji 2020/03/22
    【川端望】"苦しんでいる人の負荷を下げることが大事なのであって、政府や反政府論者の間違いを批判すること自体を目的にしたり、権力者や権力批判のワイドショーを馬鹿にすること自体に熱中するのは適切ではない”
  • 井上智洋『MMT 現代貨幣理論とは何か』講談社,2019年を読んで

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 書は,MMT経済学的な主張をなるべくわかりやすい形で考察しようというであり,日経済の現状分析やMMT派の政策宣伝,またMMT派や否定派の双方にありがちな論敵への批判を重点に置いたではない。その点では,MMTを冷静に理論的に考えることに向いている。私もそういうものとしてMMT書の主張を経済学的に考えたい。 著者はMMTに全面的に賛同しているわけではない。第1章でMMTの提起する論点を3つ挙げ,「(1)財政的な予算制約はない」に賛同し,「(2)金融政策は有効ではない(不安定である)」に保留し,「(3)雇用保障プログラム(JGP)を導入すべし」には反対で(25-

    井上智洋『MMT 現代貨幣理論とは何か』講談社,2019年を読んで
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    kaikaji 2020/01/06
    【川端望】
  • 「『政府のお金』など存在しない。あるのは納税者のお金だけだ」というマーガレット・サッチャーの主張は正しかったか?:MMTの貨幣論で考察する

    川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。 2019年12月21日付の『日経済新聞』は2020年度当初予算案に寄せて、かつてマーガレット・サッチャーが「『政府のお金』など存在しない。あるのは納税者のお金だけだ」と発言したことを紹介している。確かに検索してみると1983年の保守党大会で"There is no such thing as public money. There is only taxpayer's money"と演説している動画が見つかる。 この演説は二つの意味を持つ可能性があるが、いずれにしても間違っている。 もしサッチャーが、「政府のお金」に誰が権利を持つかという意味で言っているのであればどう

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    kaikaji 2019/12/27