魚は日本酒に合う。刺身に煮物、焼き物に揚げ物、さまざまな魚料理が日本酒とともに食されている。その姿を描いている浮世絵も多数存在するが、その中でも一風変わった一枚を紹介したい。 喜多川歌麿の『教訓親の目鑑』俗ニ云ばくれんである。『教訓親の目鑑』は、「こんな子に育ててはいけない」という親向けの教訓を描いたシリーズものである。その一編である「ばくれん」とは、すれっからしという意味である。 『教訓親の目鑑』俗ニ云ばくれん絵を見てみよう。ギヤマンと呼ばれるガラスの杯で日本酒をぐぅっと空けている女性が描かれている。着乱れた着物と恍惚とした表情が特徴的である。 片手に握られているつまみはガザミであろう。江戸前のガザミは当時有名であり、日常的に手に入るものであったと考えられる。塗られた色からも、よく火が通り赤々としているさまが伺える。身だけでなく、殻に入ったミソはとりわけ日本酒にあったことだろう。 この日
![絵画で味わう江戸のさかな【江戸の蟹、上方の酒】|鷹 輝政](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/178f01e10e4303697999ff9c6127ff76a21490ac/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F133685244%2Frectangle_large_type_2_1e4bd393b712f09a02a74a02c2213aa9.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)