10月初め、事業停止を知った債権者数人がヤマコンの社屋周辺を訪れる姿があった。ヤマコンは、商社を通じて大手スーパーに年間数百万袋の海藻乾物を供給していたほか、同業者や大手食品メーカーにも納品していた。約70年の業歴を持つ中堅どころだっただけに、業界への影響は少なくなかったとみられる。 関係先の多くにとって突然の破綻だったが、発端は10年前にあった。前社長が辞任して新会社を設立。内部分裂によって売り上げの多くを失うという痛手から回復できないまま再生の道を失ってしまった。 スーパーとの取引で成長 ヤマコンの前身は、創業者の山下久雄氏が名古屋で開業した個人商店「山下昆布海藻」。当初は三重県産ワカメが中心だったが、久雄氏の独自人脈で北海道産昆布を多く取り扱うようになった。 海藻乾物業は家族経営の小規模事業者がほとんどだったが、同社は地元の大手食品商社との取引を通じてスーパーに商品を入れるようになっ