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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (21)

  • 地上とはまったく異なる常識が支配する海中洞窟の世界で、ダイバーが何を考え、見てきたのか──『イントゥ・ザ・プラネット』 - 基本読書

    イントゥ・ザ・プラネット 作者:ジル・ハイナース新潮社Amazonこの『イントゥ・ザ・プラネット』は洞窟探検家、水中探検家の女性ダイバーであるジル・ハイナースによる冒険記だ。水中、それも誰も踏み入ったことがないような長大な洞窟の中では、地上とはまったく別種の常識と情景が展開する。一つの判断ミスで人はあまりにもあっさりとなくなるし、そのわりに恩恵が多いようにはみえない。 誰も到達したことがない水中洞窟の奥までいくことで、莫大な金が降ってくるといったことは基的には存在しない世界である。だがしかし──そこにそこに果敢に挑みかかる人間はいて、書はそのうちの一人のダイビング人生を追う形で展開していく。著者も幾人もの仲間たちを目のまえで失い、自身も死にかけている。それなのになぜ潜り続けるのか。そして、彼女たち探検家は海中で何を考え、見ているのか。 その筆致はあまりにも苦しく、同時に美しく、まるで自

    地上とはまったく異なる常識が支配する海中洞窟の世界で、ダイバーが何を考え、見てきたのか──『イントゥ・ザ・プラネット』 - 基本読書
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    kamei_rio 2022/01/19
  • 自然界に存在する準結晶を求めた、科学者の大冒険──『「第二の不可能」を追え! ――理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャツカへ』 - 基本読書

    「第二の不可能」を追え! ――理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャツカへ 作者:ポール・J・スタインハート発売日: 2020/09/03メディア: 単行2011年のノーベル化学賞を受賞したのは準結晶の発見をしたシェヒトマン博士だった。「準結晶」とは、説明が難しいのだけど、純粋な結晶ともランダムな構造を持つ非晶質とも異なる、(準結晶の発見以前からすると)新しい結晶の構造のことである。それまでの結晶学の常識では、どの鉱物を調べても、基的な構成要素は四面体か、三角柱か、平行六面体のいずれかであり、それ以外はありえないと思われていた。 たとえば、単純化して考えると、三角形、長方形、平行四辺形、正方形、六角形のタイルは平面に隙間なくタイルを敷き詰めることができる。だが、正五角形は隙間なくタイルに敷き詰めることはできない。三次元の結晶は二次元タイルよりも複雑になるれども、科学者は三角形、長

    自然界に存在する準結晶を求めた、科学者の大冒険──『「第二の不可能」を追え! ――理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャツカへ』 - 基本読書
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    kamei_rio 2020/09/11
  • 基礎科学の重要性──『「役に立たない」科学が役に立つ』 - 基本読書

    「役に立たない」科学が役に立つ 作者:エイブラハム・フレクスナー,ロベルト・ダイクラーフ発売日: 2020/07/29メディア: 単行この『「役に立たない」科学が役に立つ』はプリンストン高等研究所のエイブラハム・フレクスナー(1866-1959)、ロベルト・ダイクラーフ(1960-)の二人のエッセイを収録した一冊である。100ページ程度の薄いで、その約半分ほどはフレクスナーによる1930年代に発表された文章を元にしているので、半分古典といえる。 しかし、ここで語られていることはそうそう古びるものではない。短い内容なので簡単に要約してしまうが、それは「基礎研究は重要だよ」ということである。応用研究は成果が見えやすいので、そうした方向に力を入れたくなる気持ちもわかるが、かといって歴史を変えた科学の多くは最初はなんの役に立つのかさっぱりわからない純粋な好奇心の追求からはじまっているのであって

    基礎科学の重要性──『「役に立たない」科学が役に立つ』 - 基本読書
    kamei_rio
    kamei_rio 2020/08/14
    無限にお金を刷れる理論があれば良いけど、現実は厳しいのでな…。科学的アプローチで嘘をつかない、道具(引用論文や参考文献、装置や手法)のアップデートを怠らない、に該当しない輩をどうすべきか、かな
  • 役に立たないとは言うものの、これほど役に立つ本はない──『ハウ・トゥー:バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』 - 基本読書

    ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学 作者:ランドール マンロー出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2020/01/23メディア: Kindle版この『ハウ・トゥー』は、「太陽の光が突然消えたら、地球はどうなる?」「アメリカを完全な廃墟にするには何発の核ミサイルを打ち込む必要がある?」「野球のボールを光速で投げたら?」など、日常生活では絶対に起こり得ない状況にたいする質問に、物理学的にどのような解がありえるのかを真面目に考察しイラスト漫画に仕立て上げた『ホワット・イフ?』の著者ランドール・マンローの最新作である。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 電子レンジや宇宙ステーション、カメラなどの身近なものから遠いものまで、この世に存在する構築物がどのような仕組みで成り立っているのかを詳細なイラストと文章で図解した『ホワット・イズ・ディス?』など、元NA

    役に立たないとは言うものの、これほど役に立つ本はない──『ハウ・トゥー:バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』 - 基本読書
  • 天体物理学と宇宙戦争について──『宇宙の地政学:科学者・軍事・武器ビジネス』 - 基本読書

    宇宙の地政学:科学者・軍事・武器ビジネス 上 作者: ニール・ドグラース・タイソン,北川蒼,國方賢出版社/メーカー: 原書房発売日: 2019/10/25メディア: 単行この商品を含むブログを見る宇宙の地政学:科学者・軍事・武器ビジネス 下 作者: ニール・ドグラース・タイソン,北川蒼,國方賢出版社/メーカー: 原書房発売日: 2019/10/25メディア: 単行この商品を含むブログを見る全地球測位、通信、監視、ナビゲーション、気象観測など、現代の社会や軍隊は衛星に大きく依存している。それはつまり衛星を攻撃する価値も高まっているということだ。宇宙はどこよりも高い戦略高地であり、そこをどのように支配するのか、あるいは他国の支配に抵抗するのか──というのは今非常に重要なトピックになっている。 たとえば、2007年の1月に中国は自国の老朽化した気象衛星にミサイルを当てて破壊した。この破壊行為

    天体物理学と宇宙戦争について──『宇宙の地政学:科学者・軍事・武器ビジネス』 - 基本読書
  • BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』 - 基本読書

    みんなにお金を配ったらー―ベーシックインカムは世界でどう議論されているか? 作者: アニー・ローリー,上原裕美子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/10/11メディア: 単行この商品を含むブログを見るベーシックインカムという、最低限所得保障の考え方がこの世に存在する。簡単に説明すれば、一月3万なり10万なりを、制限をつけず全国民に配布しちゃいましょう、という考え方である。「え、毎月10万貰えたらメッチャ嬉しい、やったー!」と気分が沸いてくるが、実際には利点に関しても欠点に関しても様々な議論がある。 BIの想定される利点と欠点 たとえば、そもそも財源をどうするんだ、という問題がある。また、全国民に配分するということは、金持ちにも同様に配るわけなので、貧困者を狙い撃ちにしたほうがもっと効果的なんじゃない? 説もある。他にも、毎月10万も(仮に)もらえたとしたら、人々は働かなくな

    BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』 - 基本読書
    kamei_rio
    kamei_rio 2019/10/15
    "すべてBIに集約されることで簡略化され「保障を受ける」という負い目もなく" BI導入するなら保障は無くなるのでは?資産が無い人は役所や病院のお世話になる=ほぼ死亡、がBIの世界観かと
  • 情報理論のレンズを通して浮かび上がってくる生命像──『生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く』 - 基本読書

    生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く 作者: ポール・デイヴィス,水谷淳出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2019/08/22メディア: 単行この商品を含むブログを見るどのように生命が生まれたのか、というのは依然判明していない。地球や火星のような環境で有機物の発生シナリオ自体はいくつも存在するが、その真ん中に大きな断絶があって、どうしても生物にまでたどり着かない。書『生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く』は、その書名に入っているように「情報」をキイとして生命を読み解こうとする試みについての一冊である。未だそれは単なる有機物と生命の間の断絶を埋めるには至っていないが、生命そのものの見方を大きく変える視点である。 情報が世界を実際に変える「起因」としてのパワーを持っていることを、科学者はようやく理解しはじめたばかりである。ごく最近になって、情報、エネルギー、熱、仕事

    情報理論のレンズを通して浮かび上がってくる生命像──『生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く』 - 基本読書
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    kamei_rio 2019/09/20
  • 動物群に広がる多様な知性──『鳥頭なんて誰が言った? 動物の「知能」にかんする大いなる誤解』 - 基本読書

    鳥頭なんて誰が言った? 動物の「知能」にかんする大いなる誤解 作者: エマニュエルプイドバ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/05/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るこんなタイトルと書名なので最初鳥の知能のかと思ったがそうではなく、動物全般の知能の多様性についての一冊である。基的にはアリやらハチやら鳥やらが発揮する豊富な知性の例をあげながら、「人間は知能の序列で最高位にいると多くの人は思っているかもしれないが、実際は知能の形態はさまざまで、誰が一番とかそういう区別は意味ないでしょ」ということを言っていくになる。文正味230ページほどの軽めのなので、サクッとお手軽に知性をめぐる旅を味わうことができるだろう。 したがって、私は、ピラミッドのような知能の序列を脇に置き、ヒトとほかの動物の能力を違う目で観る別の概念を用いることを提案する。この概念とは、環

    動物群に広がる多様な知性──『鳥頭なんて誰が言った? 動物の「知能」にかんする大いなる誤解』 - 基本読書
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    kamei_rio 2019/06/12
  • 重力波ノンフィクションで今一冊選ぶならこれ!──『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』 - 基本読書

    時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け 作者: Schilling Govert,斉藤隆央出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2018/01/10メディア: 単行この商品を含むブログを見る2015年9月にはじめて重力波が観測されて以後、二度三度四度と調子よく観測され、格的に重力波天文学がはじまった感がある。現状、人間ドラマにフォーカスしたものからその科学的な解説を取り扱ったものまで重力波についてのも何冊も出ているけれども、書『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』はそんな中にあって最新の成果、これまでの歴史、またこれから先の見通しまで含めた包括的な一冊だ。 重力波とは まず最初に重力波について簡単に説明しておこう。 ふたつのブラックホールが両者の重心の周りを軌道運動する連星系になると、最終的には螺旋を描いてぶつかって一体化する。太陽の20倍以上のドチャクソな質量を持つ恒星が潰れてブ

    重力波ノンフィクションで今一冊選ぶならこれ!──『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』 - 基本読書
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    kamei_rio 2018/01/23
  • 人はどうやって人になったか──『生命進化の偉大なる奇跡』 - 基本読書

    生命進化の偉大なる奇跡 作者: アリスロバーツ,Alice Roberts,斉藤隆央出版社/メーカー: 学研プラス発売日: 2017/10/31メディア: 単行この商品を含むブログを見る書『生命進化の偉大なる奇跡』はイギリスの解剖学者・人類学者であるアリス・ロバーツによる、人類進化の中でも特に解剖学・発生学を中心としたサイエンス・ノンフィクションだ。彼女はBBCで人類進化をテーマとしたいテレビシリーズにも出演していたり、幅広く一般に向けてわかりやすい科学情報の発信を行なっているが、書もその成果のうちの一冊である。 中心となるのは、受精卵という一個の細胞がひとりのヒトへと成長を遂げる"奇跡"としか言いようがない事象の背後にある具体的なプロセスと、どのような歴史の上に我々の手が、足が、肺が、脳が、腰が、形作られてきたのか、それは元を辿ればどんな生物からの遺伝なのか──という生命進化の軌跡

    人はどうやって人になったか──『生命進化の偉大なる奇跡』 - 基本読書
  • 1000万種におよぶ昆虫たちの、オンリーワンの交尾道──『昆虫の交尾は、味わい深い…。』 - 基本読書

    昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー) 作者: 上村佳孝出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/08/11メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る書は書名の通りに昆虫の交尾について書かれた一冊である。人生でこんなにたくさん交尾時の写真を見せられたことは一度も(エロを含めても)ないだろうというぐらいにの中には大量の複雑怪奇な交尾写真が踊っており、ほとんど電車で読んだけど若干の気まずさを覚えたりもした(昆虫なのだから堂々と読めば良いのだが……)。 全篇通して交尾、交尾、交尾、なのだけれどもどの種の交尾を取り上げてもみなそれぞれ異なった趣がある。コオロギはメスがオスの上におぶさるようにして交尾をするし、キリギリスは、オスの精包についた栄養に富んだゼリーをメスがべている間に、精子が精包のカプセルからメスの体内へと移動していく。近年の発見では、オス

    1000万種におよぶ昆虫たちの、オンリーワンの交尾道──『昆虫の交尾は、味わい深い…。』 - 基本読書
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    kamei_rio 2017/09/07
    性別を分けて遺伝子の組み合わせを試すぜ!と意気込んだところ、おちんちんが磨き上げられました。は神様的にどうなの
  • 我々の宇宙はなぜ「できすぎて」いるのか──『マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか』 - 基本読書

    マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか (星海社新書) 作者: 野村泰紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/07/26メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る書はその書名のとおりに、この世界には我々が今住んでいる宇宙以外にも複数の宇宙が存在することを仮定した物理理論、マルチバースと呼ばれる世界像を解説した一冊である。180ページ足らずの新書で、説明できるのかねえと疑いながら読み始めたのだけど、前提となる知識の紹介からしっかり進め、マルチバースの質に絞ってコンパクトにまとめあげていくずっしりとした内容のある新書であった。 しかし、書で紹介したいのは、この20世紀の成功をさらに超える最新の「宇宙」論である。ここで宇宙という単語をカッコの中に入れたのには理由がある。この最新の描像によれば、我々が宇宙だと思っていたものは無数にある「宇宙たち」の一つ

    我々の宇宙はなぜ「できすぎて」いるのか──『マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか』 - 基本読書
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    kamei_rio 2017/08/19
    マルチバースは有り得ると思うけど、パラメータ調整に繋がるかは何とも(つまり買って読めと)
  • 無根拠なサイエンスノンフィクションを見分けるためのいくつかのやり方 - 基本読書

    科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書) 作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2011/06/29メディア: 新書購入: 3人 クリック: 146回この商品を含むブログ (76件) を見る今日は当はとある一冊のサイエンスノンフィクションについて書こうと思っていたのだが、1000字ぐらい書きながら裏とりを続けているうちに「これはちょっと厳しいな……」という感じになってきてしまった。なのでそれは取りやめ、無根拠なサイエンスノンフィクションを見分けるためのいくつかのやり方について書こうと思う。 僕自身が常にこれから書いていくようなことをやっているわけではないし、僕が無根拠なサイエンスノンフィクションを全て見分けられているというつもりもない。基的には心構えや、頭に入れておくといいかも、ぐらいの地道な話が多くなるだろう。 1.同分野のを何冊も読む この世には無根拠なサイエンスノン

    無根拠なサイエンスノンフィクションを見分けるためのいくつかのやり方 - 基本読書
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    kamei_rio 2017/07/19
    お金が絡んでくると色々と汚染されて、ますます難しくなるから本当に厄介
  • GPSもインターネットもここから産まれた──『ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA』 - 基本読書

    ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA (ヒストリカル・スタディーズ) 作者: アニー・ジェイコブセン,加藤万里子出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2017/04/20メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るDARPA(国防高等研究計画局)をご存知だろうか。秘密組織というわけではないし、ロボットコンテストなど人目を惹く企画もいろいろやっているし、成果は表にでてくるから名前を聞いたことのある人も多いだろう。その成果のもっとも有名なところとしては、インターネットの原型をつくったり、全地球測位システムのGPSをつくったりなどしている。ようは最先端の技術を用いて軍事技術を開発する機関なのである。 その目標とするところは、軍事科学に革命を起こし、アメリカの科学技術力の絶対優位を守ること。1958年に議会により発足して以来、その実態の多くは謎につつまれてきた。軍事

    GPSもインターネットもここから産まれた──『ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA』 - 基本読書
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    kamei_rio 2017/05/08
    "「あの機関は、答えがわからないことに資金を出してくれるんだ。」" 恐ろしいけどすごいんだよな……
  • 数学的原理に裏打ちされたファンタジー小説──『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』 - 基本読書

    精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2016/10/26メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2016/10/26メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る書は副題にチューリングマシンをめぐる冒険とあるように、「チューリングマシン」について、その諸原理や応用問題を取り扱った一冊である。チューリングマシンとは計算を数学的にモデル化するために生み出されたもので──と説明を始めたらキリがないので一旦終わるが、それと同時に、書は「格ファンタジー」でもある。 ベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を筆頭として、ストーリー仕立てで現実の経営論や

    数学的原理に裏打ちされたファンタジー小説──『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』 - 基本読書
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    kamei_rio 2016/10/31
    "だからこそ本書では「立ち止まって、考えること」の重要性と、同時にそれは途方もなく苦しいことでもあって──という困難さが強烈に描かれていく"
  • 虫だらけの惑星──『昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略』 - 基本読書

    昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略 作者: スコット・リチャードショー,Scott Richard Shaw,藤原多伽夫出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/07/13メディア: 単行この商品を含むブログを見る昆虫は最強の生物である──と断言されると、いったい最強とはなんなのだ。人類じゃなくて? と疑問が湧いてくるが、まあ「最強」の定義次第といったところだろう。たとえば、人類はこの地球上に種そのものを脅かす天敵はいないわけで、その観点からいえば「人類は地球最強の生物」といってもいいだろう。 しかし別の観点からすると、おそらく人類最強の個体である範馬勇次郎だって病気や癌によって死ぬわけでそうした抗いようのない病気/生命原理が最強なのか? ということにもなる。「個体」が最強なのか「種」が最強なのかにも違いがあるだろう。とここで昆虫の登場である。これ

    虫だらけの惑星──『昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略』 - 基本読書
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    kamei_rio 2016/08/15
    完全変態はいいぞ
  • 科学が産んだ脅威の動物たち──『サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで』 - 基本読書

    サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで 作者: エミリー・アンテス,西田美緒子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2016/08/05メディア: 単行この商品を含むブログを見る「サイボーグ化する動物たち」と言われると、ブースターが付いていて時速300キロで走るイヌや肩にブレードが付いていて標的を切り刻むネコなどを思い浮かべてしまう(僕だけかもしれない)。書の原題は「FRANKENSTEINS'S CAT Cudding Up to Biotech's Brace New Beasts」であり、どちらかといえばバイオテクノロジーによる動物の任意的な遺伝子改変による成果を紹介する側面が強いだ。 遺伝子改変 biotech関連では現状の成果をほとんど知らなかったので、読んでみて「けっこうなことやってんなあ」と思う事例が多い。たとえば中国ではミュータントマウスの大量

    科学が産んだ脅威の動物たち──『サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで』 - 基本読書
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    kamei_rio 2016/08/10
    どちらかというとバイオらしい。遺伝子操作した個体をサイボーグで強化して人工知能を埋め込めば、生物最強の囲碁チャンピオンになれるかも
  • 犯罪者こそが誰よりも早くテクノロジーを実用化する──『フューチャー・クライム――サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル』 - 基本読書

    フューチャー・クライム――サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル 作者: マーク・グッドマン,松浦俊輔出版社/メーカー: 青土社発売日: 2016/02/08メディア: 単行この商品を含むブログを見るテクノロジーの発展は個人に可能な領域を極端に増大させた。 誰もが自由に情報を発信し、3Dプリンタで複雑な立体物を出力し、音楽をつくり、意見を交換しドローンをぶうぅーんと飛ばしたりする。素晴らしい! とはいえこうした素晴らしさは同時に犯罪者らにも同様の力を与えることになる。しかも犯罪者は法律で縛られないために、"誰よりもテクノロジーを自由に使ってみせる" テクノロジーと犯罪 たとえばドローンが刑務所へと飛び入って、携帯電話や麻薬を落としていった事例は各国で報告されている。麻薬のメッカ・メキシコでは、国境を超えるためのドローンをつくるため、麻薬組織が大量の労働者を雇って、工場までつくって格的に組

    犯罪者こそが誰よりも早くテクノロジーを実用化する──『フューチャー・クライム――サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル』 - 基本読書
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    kamei_rio 2016/04/19
    エロに使われてるうちはまだマシなのよね……
  • 孤独を受け入れるか、それとも外へ探究の旅へ出るか──『五〇億年の孤独:宇宙に生命を探す天文学者たち』 - 基本読書

    五〇億年の孤独:宇宙に生命を探す天文学者たち 作者: リー・ビリングズ,松井信彦出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/03/24メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る太陽系は現代から45億年〜46億年ぐらい前にできたのではないかと想定されている。つまるところ書が五〇億年の孤独(原題もそう)──と題されているのは、4〜5億年ぐらいサバをよんで、キリが良い50億年間人間はこの宇宙で孤独だった! とアピールするためのものかとおもいきや、現状の観測からするとあと5億年もすれば生物のほとんどは死滅してしまう=50億年で文明が滅亡する事実からきている。 滅亡するといっても、太陽が燃え尽きるまでは何十億年もある。だが、地球の内部が冷えると火山活動が低下し、大気中に出てくるCO2が減る。同時に太陽は光が強まっていくから水蒸気が増え岩石が風化し、CO2はさらに減る。その結果

    孤独を受け入れるか、それとも外へ探究の旅へ出るか──『五〇億年の孤独:宇宙に生命を探す天文学者たち』 - 基本読書
    kamei_rio
    kamei_rio 2016/04/06
    "そもそも生物探査に命を賭けているような科学者らはみなどこかmadness" 確かに……
  • 偉大なる失敗:天才科学者たちはどう間違えたか by マリオ・リヴィオ - 基本読書

    当然ながら科学者だろうがなんだろうが間違えを犯すわけで、ただ単に失敗を取り上げるだけだととして面白くはならないだろうなと読む前は思っていた。しかし「大発見への橋渡し役を果した」失敗を「偉大なる失敗」と呼び、五人をとりあげていてなかなか良いまとまり方をしている。何よりいかに偉大で名声を得た科学者であったとしても、むしろその事によって自分の説への過剰な信頼を寄せてしまい間違いを認められず、軌道修正することかなわず「失敗し続ける」ハメになった例など、失敗について我が身を振り返ることも多い。 たとえば書で取り上げられている科学者のうちの一人にケルヴィンがいる。彼はなるべく科学的な指標を使って計算を行い、もっともらしい地球の年齢を導き出したが、のちの研究によればそれは桁のレベルから間違っている値であった。ケルヴィンは自身の科学的な計算について、いくつかの仮定をおいており(まだわかってない部分だっ

    偉大なる失敗:天才科学者たちはどう間違えたか by マリオ・リヴィオ - 基本読書
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    kamei_rio 2015/02/16
    科学においても最後まで自説を曲げず、世代交代までの時間が必要になることもある