タグ

ブックマーク / schutsengel.blog.ss-blog.jp (26)

  • 想像力の届け方(映画「この世界の片隅に」):Chromeplated Rat

    あちこちでだいぶ語られているので、ちょっと書いてみてもいいだろう。1週間前、ぼくは公開2日目にこの映画を見た。 こうの史代の漫画は、圧倒的に情報量が多い。ぼくみたいな不注意な読み手は、さりげなく提示されるそれらの情報に引っかからず、読み流してしまいがちだ。そのことに気づいて意識的に読み方を変えたのは、「夕凪の街 桜の国」を何度かめに読み返してからだった。最初に読んだ時には、この漫画の巻末に(さりげなく、1ページだけではあるけれども)解説が添えられている意味に気づけなかった。 2年だけとは云えぼくはその昔広島の小学生で、ぼくの世代だと日常接する教師にまだ被爆者がいた。彼らが原爆についてぼくたちに語ってくれる機会も、年に数度あった。このブログの更新がまだもっと頻繁だったころ、8月6日前後にかならずなにかしら書いていたのは、それらがこれから失われていくのがわかっていた、から。原爆についての一次情

    kamezo
    kamezo 2016/11/20
    事実・実感・「真実」・想像力。
  • 「『ニセ科学撲滅運動』が『ニセ科学』に堕した5年」解題:Chromeplated Rat

    ここをあまり更新しなくなってからもうだいぶ長くなる。なので、ここでなにかを書くことがいくらかの注目を集めることは(以前と比較して)相当に少なくなった。なので、すこし気負わずに書いてみよう。 さつきさんの「ニセ科学撲滅運動」が「ニセ科学」に堕した5年 と云うエントリを読んだ。 命名をする。略語を与える。キャッチフレーズをつくる。――こう云う行為を行った瞬間に、そのことばはそれが来指し示すべく意図された、来はある程度の広がりと複雑な背景を持つ文脈をある程度離れ、独自のニュアンスを獲得しはじめる。 このことが命名をしたものにとって望ましいことである場合も、そうではない場合も両方ある。 たとえば「ニセ科学」と云う言葉は、そもそもが価値判断を含んだ言葉で、最初から取扱注意なところがある。なので、指し示す射程が広がらないよう、比較的注意深く論じられてきた経緯が存在する。もちろん論者によって、そのあ

  • 呪いを解く(「いちから聞きたい放射線のほんとう」菊池誠・小峰公子・おかざき真里):Chromeplated Rat

    たいていのファンタスィ、そしておそらくたいていのRPGにおいては、「知る」ことをエンジンにして冒険が駆動されていく。 地形や伝説を知ることにより宝物を見つけ、相手を知ることにより戦いに勝ち、魔法の原理を知ることにより呪いを解く。そうして、主人公たちは勝ち(あるいは負け)、理不尽な環境から開放される(あるいはとどめおかれる)。もちろん勝つために、開放されるために必要なのは知識のみではなく、主人公たちのいろんなスキルや判断力、その状況で必要とされるアイテムがそろっているか、なども重要なのだけれど、すくなくともそれらを役立てるための知識を入手することはつねに必須だ。 でまぁ、これはある意味ぼくらの人生そのもので。すぐれたファンタスィやRPGがぼくらに与えてくれる感動も、これらの構造がぼくらの実生活のアレゴリーとして適切に用いられていることから来る部分が大きいと思う。 理不尽な状況に投げ込まれた、

    kamezo
    kamezo 2014/05/06
  • 目前の問題と、遥かな要因:Chromeplated Rat

    正直に云うと、書けなくなっている。と云うか、身近にあって話題的に個人的な感想の域を出ずにすむものについてはいくらか書けたりはするのだけど、すこしそこから離れて、「情報の受け手」としてのスタンスでなんらかの意見を述べる、みたいなものは難しい。複数の原因があって、いまいる自分がそれほどパワフルではない、と云う話なのだけれど、口を開くことで背負いきれないものが生じる可能性のあることがらについては、結局こわくて口をつぐむことになる。 まぁ、ぼくごときが口をつぐんでいても大勢に影響はないのだけれど、そんな状況のなかで榎木英介さんのコミュニケーションを担うのは誰かと云うエントリを読んだ。 この状況で口を開くのはおそろしい。その意味で、例えばこの状況をビジネスチャンスとして活用する気概と極太の神経を見せつけてくれるニセ科学商売のみなさまには若干感服しないでもないけど、まぁそれはこの分野の周辺に遍在する

  • 遊芸:Chromeplated Rat

    kamezo
    kamezo 2011/03/28
    〈中川敬〉〈阪神淡路大震災の際に彼がソウル・フラワー・モノノケ・サミットを組織して取った行動は〜表現者としてのミュージシャンのロールモデルとなりうるもの〉復興節かあ。
  • 実質的な敗訴:Chromeplated Rat

    ホメオパス助産師のK2シロップ不投与による乳児死亡事件に関する民事訴訟が和解に至った、と云う報道があった。 たいていこう云うコミットしてきた議論について触れるときには、自分が過去にどんなことを云ってきたかを示すために関連する自分のエントリへのリンクを置くのだけれど、この訴訟そのものに触れたエントリはどうやら書いてないみたいだ(多くのひとがお書きになっていたので、ぼくはいいかな、とか思ったんだろうな。事件そのものについては琴子の母さんのエントリに言及してこちらで触れたりしてるけれども)。 生後2カ月の長女が死亡したのは、ホメオパシーという民間療法をする助産師が適切な助産業務を怠ったためだとして、山口市の女性(33)が助産師を相手取り、約5600万円の損害賠償を求めた訴訟で、助産師側が女性に和解金を支払うことで合意したことが21日、分かった。和解金は数千万円とみられる。訴訟に及んでの、原告の女

    kamezo
    kamezo 2010/12/24
    〈この訴訟は実質的に、ホメオパス助産師の敗訴だ、と云うこと。和解金を払って、ひとまえでホメオパシーの代替医療としての正当性を主張することを回避して、裁判を終わらせることを選んだわけだから〉
  • もの申すこと:Chromeplated Rat

  • ホメオパシーは宗教ではない、のか:Chromeplated Rat

    ソフィア&レインさんのホメオパシーは宗教ではないと云うエントリを読んだ。 宗教、と云うものの定義は文脈によってさまざまあると思うけれど、「科学と宗教」と云う対立軸を仮に置いて比較した場合、あるものが宗教である、とされるのは、根底にある不合理を許容する、と云う要素がある場合だと思う。なので、宗教には(最終的には)証拠は必要ない。単に、信じる、だけで事足りる。そしてそれは宗教と云うものの瑕疵ではないし、それゆえに必要とされることもあれば、役に立つこともあるのだと思う。だから「宗教っぽい」みたいな言い回しが否定的な意味を帯びるのは、それはそもそも宗教的であってはいけない、宗教っぽかったらまずいもの、に対してだけで。医療とかね。 ホメオパシーがカルトだと思われている方は多いようですね。 カルトという言葉をニュースで使っているのでしょうかホメオパシーをカルトと断ずるような報道を、ぼくはまだ見かけたこ

    kamezo
    kamezo 2010/09/26
    「宗教と呼ぶのは違和感がある。あえて言うならば、カルトのようなもの」等と評することはあります。同じように考える人も少なくないかも。
  • 観客席はない(「科学は誰のものか」平川秀行):Chromeplated Rat

  • ホメオパシーと日本助産師会:Chromeplated Rat

    # 誤記があったためタイトルを修正しました。 和田みき子さんのホメオパシー問題についてと云うエントリを読んだ。このかたは助産師さんで、『1920年代の都市における巡回産婆事業――経済学者、猪間驥一の調査研究を通して――』 と云う論文で第4回河上肇賞の奨励賞を受賞してらっしゃるよう(なので昔の、いわゆる「自然なお産」の実情についても造詣の深いかたのよう)。 ここのところの朝日新聞を中心としたホメオパシー報道で、きっかけとなった(と云ってもいいと思う)助産師のみなさんとか助産師会がどう思ってるのかな、みたいには思っていたんだけど。 私自身はすでに開業をやめ、日助産師会の会員でもないのですが、この問題は助産師全体の問題として受け止めており、東京都助産師会(この4月から法人化して、「日助産師会東京都支部」から独立した組織となった)のトップにある人と、この間、意見交換をしてきました。 彼女も、ホ

    kamezo
    kamezo 2010/08/12
    和田みき子氏「お産を待ちながら:ホメオパシー問題について」の読み解き。
  • ゆるがせにすべきではないこと(「科学との正しい付き合い方」内田麻理香):Chromeplated Rat

    でも、ネット上でいくつかの書評を見て、ちょっと思い直した。 この来の対象読者は、たぶんぼくみたいな人間なんだろうな、と思ったので。 ニセ科学に関する議論のはじっこのほうでそこそこのあいだうろうろしているにも関わらず、ぼくぐらい「科学」と云うものに対する理解を欠いている人間もそうはいないだろう(もうこれは認めてしまえば能力的な問題で、そこには忸怩たるものがないわけでもないのだけれど)。書でも主要なテーマとして掲げられている「科学リテラシー」と云うものについても、いまだそれがどんなものを指すのか、と云うことについて明瞭な理解を持っていない(ついでに云うと、あまりそこにはっきりした共通理解が生じていると思えないような場で、このことばが一種の紋切型として使われているように感じられる現状に対する違和感もまだ払拭できていない)。 でまぁ、目次を開いてみる。初級編、中級編、上級編に分かれている。

  • 「あいだ」に住む (「科学と神秘のあいだ」菊池誠):Chromeplated Rat

  • 「癒す」こと:Chromeplated Rat

    kamezo
    kamezo 2009/12/07
  • ホメオパシー受容の現状:Chromeplated Rat

    タイトルは釣りかも。 ホメオパシージャパン株式会社が運営するホメオパシーセンター東京部で活躍されているらしいホメオパスの方が運営するブログで、第2回全国ホメオパシー利用者実態調査と云うエントリがあがっている。昨年9月から12月にかけてホメオパシージャパン株式会社が自社クライアントを対象におこなったアンケートらしい。 まぁ日頃からホメオパシージャパン商品利用者を対象としているためか、あまり辛らつな意見は見受けられませんでした。と云う断り書きはあるのだけれど。 アンケートはとらのこ会報「オアシス」と同送、講演会参加者、ホメオパシックファーマシー店頭等にて配布回収されたもので、有効回答者数は1142人です。回答者は96%と圧倒的に女性が多く、男性はわずか4%です。こう云う偏りはあるよなぁ、みたいには感じる。ホメオパシー支持を表明するネット上の言説は大半が女性によるものだ。なかにはこどもへのイン

    kamezo
    kamezo 2009/11/19
    2009年の記事。コメ欄で、要するに日本ホメオパシー医学協会(ホメオパシー・ジャパン)は組織として公式に「3た論法」を採用している、という話が。オレとのやりとりだw
  • 【メモ】 「自然」はさいなむ(続き):Chromeplated Rat

    少し前のエントリのコメント欄で、satomiさんにいただいたコメントが、いろんな重要な論点を含んでいるように感じている。 そのコメントに対してぼくが書いたお返事がなんだか(自分でも)雑に見えるのは、そこにある論点をどう捉えるべきなのかぼく自身ちゃんとした視座を持てていないからで、早い話が勉強不足と云うことでもあって。なので、今後いつかたどりつけるかもしれない、もうすこしましな理解へのメモとして、自分自身のためにちょっと細かく考えてみる(ちょこまか引用しながらになるけれど、うちのコメント欄にお寄せいただいた内容なので、いいですよね? >satomiさん)。ぼく自身の理解の限界を示すことにもなる、と思うけれど。 一昨年、アマゾン先住民族の長老であり呪術師でもある人が来日した際に、通訳者兼お世話係として密着する機会を得ました。 2週間共に行動しながら確信したのは、呪術というのは「その時」「その場

    kamezo
    kamezo 2009/11/11
    ホメオパシーがニセ科学であるばかりかニセ呪術でもある(科学としても呪術としてもエセである)という話は全面的に賛成。ホメオパシーに限らないという点も含めて。
  • JBpressに掲載された長野修氏のコラムについて:Chromeplated Rat

    JBpressの長野修氏によるホメオパシー記事のふたつめ、何のためのホメオパシーか 西洋医学が見放した人を前に、それでもノーと言えるかが公開された(ひとつめの記事は自然治癒力を高める「ホメオパシー」欧米からやって来た代替医療が日で静かなブームと云うタイトルで9/2付で公開されている)。もうそこそこ話題になっているけれど、これらの内容が容認しがたいので言及してみる。語調がいつもと違うかもしれないけど、ご容赦を。 ホメオパシーの問題点と云うのは複数の角度から挙げられていて、そのあたりはここのサイドバーからもリンクしているlets_skepticさんのホメオパシーFAQに詳しい。賛否両論含めた議論の場としては上に挙げた長野氏の9/2付の記事を題材にしたkikulogのホメオパシーは世界で最も安全な医療?と云うエントリが現時点で活発。 細かい議論はこれらを参照していただくとして、ホメオパシーの持

  • 選びえぬとき:Chromeplated Rat

    どらねこさんの一連のマクロビオティック関連のエントリがいったん結びとなったようで、マクロビ関連エントリまとめと云うエントリでまとめられている。最終的にQ&Aと云うかたちで集約された講習会でこんな話し聞いてきたのだけど(前編)・(後編)の2つのエントリは労作だと思う。少し前に言及したOSATOさんによる「水からの伝言」の読み解きしかり、こう云うていねいなテクストをアクセス可能にしてもらえるのはほんとうにありがたい。 うちから街の中心部までのあいだに、ヴェジタリアンフードやマクロビオティックを標榜するべ物屋さんがふたつほどある。どちらも入店したことはないのだけれど、そう云うお店があること自体はいいことなんだろうな、と思っている(片方はおいしそうなので、いちど事をしてみたいと思ったりもする。もう片方はストリクトなマクロビオティックを実践しているようなので、休日の事にはどうかなぁ、とか思った

    kamezo
    kamezo 2009/07/31
    相対主義かあ。/一方的に「遅れている」「間違っている」等と断じることや軽んじることは警戒したい。でも、それは「間違いや遅れなどどこにも存在しない」ということではないはず。
  • コントロール:Chromeplated Rat

    OSATOさんによる「水からの伝言」の丁寧な再読み解き、「『水』を読む」シリーズが「水」を読む(9)最終回〜これから〜で完結した(一連のシリーズエントリは「水読」カテゴリに現在のところまとめられている)。 ニセ科学に関しては、ぼくはとりわけその「蔓延」の部分、受容される側の問題について視点を置いてきた。これは、まずはぼくがアカデミシャンではない、と云う立ち位置から選択しえた視点でもあって、ぼく固有の問題意識のありかからとってきたスタンスでもある。なので、読み解き、と云う部分についてはスタンスを異にするかたがたによる果実を利用させていただく、と云う方法をとってきた。 今般のOSATOさんの一連のエントリは、(おそらくは)ぼくに近いスタンスから、実際の読み解き、と云う方法をとっている。まずはそこに、敬意を表させていただくとして。 あの結晶写真は、オウムの「空中浮揚」の写真と同じなのだと私は思い

    kamezo
    kamezo 2009/07/01
    OSATOさんの原典批判 http://blog.goo.ne.jp/osato512/c/bfbc6e130924f564c6dbefce24fefcae の紹介と考察。/江本氏自身の理解については、ぼくもあれこれ考えるがわからないなあ……。
  • リテラシーと心情:Chromeplated Rat

    サイエンスカフェ・ポータルのK_Tachibana さんがお書きになった【イベントレポート】理研ゲノム医科学研究センターシンポジウムと「オーダーメイド医療を考える」シンポジウムをハシゴしてきたと云うエントリの中で、興味深い一節があった。 個人的には,理研ゲノム医科学研究センターシンポジウムでの鎌谷直之さんの話が, 非常に興味深かったです.彼は,遺伝学と統計学が弱体な日の問題点として,次の ことを挙げていました. 1)100%でないと「意味がない」と主張する (医学,生物学に統計学は要らない) 2)少数例の印象で関連性あり,という結論をすぐ信じる (ABO型の血液型と性格) 似非科学や科学リテラシーの問題と,紙一重の話ですね.この両者のロジックは、ご指摘のとおりニセ科学を支持するような言説では非常に頻繁に使われる。典型的には「科学ですべてのことがわかるわけじゃないじゃん → 科学的じゃない

    kamezo
    kamezo 2009/04/09
    陥りやすい穴。〈1)100%でないと「意味がない」と主張する(医学,生物学に統計学は要らない) 2)少数例の印象で関連性あり,という結論をすぐ信じる(ABO型の血液型と性格)〉
  • 信頼する:Chromeplated Rat

    kamezo
    kamezo 2009/04/09
    〈多少であれ科学と云うのがどんなしくみを背景に存在しているものか〜をいくらかでも理解していれば(そうして少しだけ考えれば)、どの専門家/権威を信頼すべきか〜を判断する〜手がかりは得られるんじゃないか〉