彼は、自分がどこで生まれたのか知らない。 しばらくの間、ゆらゆらと船に揺られていたような気もするが、夢の中の出来事のようで記憶は曖昧だという。 そして気がつくと、とある小さな村に漂着していた。 どうやら、ここは日本という国らしい。 《スポンサーリンク》 1.ホームレスのフィギュア 2.出会い 3.人間になる方法 4.愚直に生きる 1.ホームレスのフィギュア 彼の身体は、ポリ塩化ビニルとABS樹脂で出来ていた。 要はプラスチックの一種だ。 そんな彼に対し、村人はあからさまに好奇の目を向けた。 なんで俺だけこんな体なんや……。 彼は、うらぶれた空き家で寝泊まりしていた。 何か仕事に就くわけでもなく、ただ日々を生きるだけであった。 彼の心は荒んでいた。 村の子供たちも容赦なかった。 わぁ、ホームレスのフィギュアだ。 汚ったね~! いつしか、彼には『ダーク』というあだ名がつけられていた。 ねずみ色
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