安倍政権は、中長期的な財政再建策の具体化には、未着手の状態にある。日本総研の試算では、名目3%という高成長でも、2020年度で財政赤字は50兆円にも達する。「景気へのマイナス影響」を言い訳に、この深刻な問題から「逃げた」財政政策運営で済ませることは、もはや許されない。 安倍晋三政権は、「デフレ脱却」、「景気押し上げ」を最優先の政策課題に位置付け、「拡張策を先行させる財政政策」、「非伝統的手段による金融緩和の強化」を組み合わせた政策運営に乗り出した。これが、民間部門の前向きの動きを呼び起こし、長年続いてきた縮小均衡を打破しつつあることは高く評価されよう。 しかし、中長期的にみれば、わが国経済が抱える最大の問題は、デフレの長期化と並び、財政事情が諸外国対比で突出して悪いことである。そうしたなか、安倍政権は、「一時的」との説明付きながら、財政拡張策を実施に移した一方で、中長期的な財政再建策の具体