負の遺産 投機の果てに 評・牧野邦昭(経済学者・慶応大教授) ◇よしかわ・ゆうすけ=1981年生まれ。ブロガー。2017年にブログを開設し、限界分譲地を訪ね歩いている。 本書の著者は、東京から千葉県北東部の北総台地の貸家に移り住み、安い中古住宅を探して物件めぐりをする中で次々に奇妙な光景を目にする。駅から遠く離れた広大な畑の真ん中や森林の細道の奥深くなど、不便極まりない場所に造成され、荒れ果てた空き地が広がりツタがからみつく空き家が点在する小規模分譲地(の跡)が無数に存在していたのだった。 なぜこのような「限界ニュータウン(限界分譲地)」が多くあり、それらはどのような問題を抱えているのかを本書は明らかにしていく。一九七〇年代の北総台地では成田空港の開港を当て込んだ開発ブームが起こり、投機を主目的とする小規模分譲地が数多く造成されたが、オイルショック後の不況により分譲地は更地のまま放置される
![『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介著(太郎次郎社エディタス) 1900円](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/32a2c235c83c42c6d6fca23ab2a1c133db0bb83a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.yomiuri.co.jp%2Fmedia%2F2023%2F01%2F20230110-OYT8I50037-1.jpg%3Ftype%3Dogp)