夕暮れの山々の陰影や燃えるような紅葉、星のきらめく夜空――。興行収入179億円を突破したアニメ映画「君の名は。」で美術監督の一人として背景画を担当した。新海誠監督の作品に携わって10年あまり。その集大成だ。 「見て描く方がリアルだから」と、自宅がある山梨県の神社の石垣やガードレール、山々をカメラに収めた。昨夏から撮りためた写真は山梨だけで1千枚。主人公の女子高校生が住む田舎の神社や通学路の風景に生かされている。 5年前に東京から引っ越してきて、朝夕の光の加減などを深く感じるようになった。「今の一瞬と1時間後の一瞬は違う。光の状況や雲の形も二度と再現できないからこそ、風景は美しい」。映画の終盤、たそがれ時の場面は「一番美しく」と、星や雲の位置を新海監督と何度も打ち合わせた。 福島市出身。東京芸術大に在学…