安田浩一著の『ヘイトスピーチー「愛国者」たちの憎悪と暴力』(文春新書・5月20日刊)を読んだ。私は、鶴橋や新大久保でのヘイトスピーチを、知らないではない。先日は秋葉原で、ヘイトスピーチデモとカウンターと警察3者の軋轢の場に出くわしてもいる。私も編集に携わっている「法と民主主義」誌で2度の特集もしている。それでも、この書の読後感は「衝撃」というほかはない。この臨場感溢れるルポを取材し書き下ろした著者に敬意を表したい。 ともかく、この書は多くの人に広く読まれるべきである。評価・評論はじっくりと時間をかけて考えよう。政治学的に、文化論的に、経済現象から。あるいは社会学的に、心理学的に、もちろん歴史的にも…。さらには、国際的にも、学際的にも、そして最後に法的な観点から…。さまざまな切り口から、生起している現象のトータルな説明や、原因分析や、対応策が議論されねばならない。が、それより以前に、情報を共