再評価の高まる斉明天皇は土木工事がお好き飛鳥時代の斉明天皇とは――。 奈良県明日香村の牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)の発掘調査で、被葬者と判明し、2010年に一躍脚光を浴びた女帝である。 実のところ、彼女が天皇になる可能性はほとんどなかった。 父は茅渟王(ちぬのおおきみ・敏達天皇の孫)。 母は吉備姫王(きびひめのおおきみ・欽明天皇の孫)。 数多いるライバルに打ち勝つほどの血統でなかったためだ。 しかし、名前しか伝わらない最初の結婚相手・高向王(たかむくおう)と別れて舒明天皇(じょめいてんのう)と再婚すると、人生は急展開をみせた。 夫の死後、ついに最高権力を手中にする。 皇極天皇の即位である(後に重祚して斉明天皇)。 ただし、息子の中大兄皇子(天智天皇)が天皇になるまでの中継ぎというイメージが強く、影の薄い存在ではあった。 興味深い逸話が『日本書紀』にある。 斉明天皇が多くの犠牲を代償に