福田良明.『「勤労青年」の教養文化史』(岩波新書).岩波書店.2020 https://www.iwanami.co.jp/book/b505594.html この本を手にして読んでみようと思ったのは、「教養」ということにある。その歴史的背景に興味があった。今、日本において、特に人文学知は危機的状況にあるといっていいだろう。そのなかでも、近年の話題としては、「古典は本当に必用なのか」をめぐる議論がある。 やまもも書斎記 2019年1月18日 「古典は本当に必要なのか」私見 http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/01/18/9026278 この本を読んで思ったことを書いてみるならば、次の二点だろうか。 第一には、教育格差の問題。 現代における教育をめぐる議論で、もっとも重要な課題となっているのは、教育格差である。「生まれ」によって、その後のその人間の教育の機