【解題】 青木強君が考察するのは、僕が講義内でも採りあげた、ザ・バンドの名曲中の名曲、「ザ・ウェイト」だ。「その重荷」と直訳できるこの曲は、イエスの生地「ナザレ」の地に場所を限定することから始まり、そににいる歌の主人公を掠めるように、多様な時代・多様な地域の歴史的人物が続々繰り出してくる神話的構成をもっている。僕はその歌の私訳を学生たちにプリント配布した。 訳してみてわかるのだが、ザ・バンドの歌は、ルーツに基づいた楽曲のスタチックな印象に反し、その歌詞を訳すのが随分難しい。ディランのようにはゆかない。省略や、口語独特の言い回しが数多く混入するためだ。僕は歌全体に皮肉な口調を読み取り、そこから全体を解釈した。意訳も盛り込んだ。 青木君のレポートはまずそんなロック対訳の問題に突き刺さる。彼の訳は下を読んでもらえばわかるように正統的だ。逆に、歌の重要なルフランと「テイク・ア・ロード・オフ、ファニ