ベンチャー企業をつくる手法として「カーブアウト」(Carve out)という言葉を最近よく耳にする。カーブアウトとは、大企業が自社の事業シーズの一部を“切り出し”、ベンチャー企業を創設する手法である。自社の中で選択と集中のふるい分けによってノンコア領域と判断されたものの、独創性があり、事業として有望な研究成果がある。それらを実際に事業化する際の有効な手段になりそうだ。 大企業の経営陣は、社内の有望な研究成果を基に、自社の社員にベンチャー企業を設立させる。この時に、親となる大企業はある程度出資することで、ベンチャー企業と資本関係を持つ。ベンチャー企業が事業に成功すれば、親会社として自社にその事業を取り込んだり、M&A(企業の合併・買収)やIPO(新規株式公開)によって収益を得るなどの権利を行使できる。 『カーブアウト経営革命―新事業切り出しによるイノベーション戦略』(東洋経済新報社、2007