概要 ブロックチェーンのトリレンマ(図1)は、2017年に提唱されて以来、開発者・研究者の間で広く信じられています。これは、性能(scalability)と安全性(security)、そして分権性(decentralization)の3つにはトレードオフがあり、同時には2つまでしか成立しないという経験則です。ただし、あくまで経験則であり、これまで数理的に表現されたことはありませんでした。 京都大学 大学院情報学研究科 中井大志 博士課程学生、櫻井晶 同博士課程学生、京都大学 学術情報メディアセンター 廣中詩織 助教、首藤一幸 同教授らの研究グループは、ブロックチェーンのトリレンマを表現する数式を発見しました。具体的には、Proof of Work型のブロックチェーン(例:Bitcoin)において、安全性を下げるフォークという現象が起きる確率の逆数を安全性の指標とした場合に、その項と、性能を