刊行にあたって 世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表する、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数で、令和5(2023)年の日本の総合スコアは「0.647」、146か国中125位でした(「0」は完全不平等、「1」は完全平等を示します)。先進国の中では最低レベルの水準です。 日本においてジェンダー・ギャップを解消し、女性が差別なく働くことが可能な社会を実現することは、今なおこの国全体の課題といえるのではないでしょうか。 さて遡って、昭和4(1929)年、現代とは異なり女性が法律家になることが制度上不可能だった時代に、現在の明治大学が女子部を開設し、その門戸は開かれました。 それから約10年後の昭和15(1940)年、日本初の女性法曹、3人の弁護士が誕生しました。三淵嘉子さん、中田正子さん、久米愛さんです。今から83年も前のことです。 それは、公然とした女性差別が存在し、女性に対す