日本の農業関係団体や農林水産省が全力を挙げて阻止しようとしている環太平洋経済連携協定(TPP)で、農業に関する最大の争点は言うまでもなくコメにある。ウルグアイラウンドをはじめ、これまでの貿易自由化の動きに際しての姿勢と何も変わってはいない。だが、アジア域内でみれば日本がコメ輸出国になる道も静かに開け始めている。ポイントは「ジャポニカ」と「水」にある。コメは大きくジャポニカ種とインディカ種に分け
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加するかどうかの判断は非常に難しい。純論理的・形式論でいえば、選択肢を確保する意味からいっても、交渉参加が正しいだろう。しかし、現政権の外交をみて現実的・政治的に考えると、TPP参加に向けて上手に交渉できる力があるか疑問だ。しっかりとした研究や調査もなく、準備不足の観は否めない。 農林水産省と経済産業省、内閣府がそれぞれ(TPPに参加した場合の)試算を出しているが、政治主導というなら政府が一つにまとめて出すべきだ。農水省の試算にも疑問が多い。関税を撤廃すれば米国や中国からコメが大量に入ってくる仮定だが、そこまでの供給力はない。緻密に検討を重ね、政治力学的に交渉の経路を見通して試算を持ち出すのが本来の姿だ。 農業の競争力強化に必要な政策は担い手の育成だ。戸別所得補償制度では高齢化の進む小規模農家を存続させることは難しい。このため(手放される)土地が出て
関税を原則的にすべて撤廃する環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、長野県中川村(人口約五千三百人)が村を挙げて参加反対をぶち上げた。二十日には村長を先頭に農業団体、商工会、建設業協会、村議会などの約四百人が反対を訴えてデモ行進した。菅直人首相は「六月までに結論」と宣言し、全国的に賛否両論が渦巻く。首相が「平成の開国」と呼ぶTPPに危機感を募らせる村を訪ねた。 (秦淳哉) 【こちらは記事の前文です】 記事全文をご覧になりたい方は、東京新聞朝刊または、携帯電話の有料会員サービス「東京新聞・東中スポ」をご利用ください。 東京新聞は、関東エリアの駅売店、コンビニエンスストアなどでお求めいただけます。 購読・バックナンバーをご希望の方は「新聞購読のご案内」をご覧ください。 掲載日やキーワードから記事を探す「記事検索サービス」もご利用ください。
環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題が再び動き出す。自由貿易の推進と、その前提になる農業強化の両立には農協(JA)の改革がカギを握る。 日本農業を支えてきた農協の今を検証する。 「TPP交渉参加 断固反対」――。 雪景色が広がる岩手県花巻市。選挙運動用のたすきやハチマキを作る印刷業の「小彌太(こやた)」は昨秋、時ならぬ「TPP景気」に沸いた。各地からTPP反対運動用商品の発注が相次いだ。発注元は地元や北海道の農協だ。 全国農業協同組合中央会(JA全中)は昨年12月、「TPP交渉参加反対1000万人署名全国運動」の展開を決めた。茂木守全中会長も年頭あいさつで、今年の課題の第一にTPPへの対応を掲げ「毅然(きぜん)たる対応が必要」と檄(げき)を飛ばした。JAは組織を挙げた運動を始めている。 JAグループは過去にも1990年代のコメ自由化や、日豪、日米の自由貿易協定(FTA)などに反対し、
篠原孝・農林水産副大臣は7日、農業に新たに従事した個人に助成する制度の創設を検討する方針を明らかにした。若い担い手を増やすのがねらい。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加など貿易自由化に向け、10月をめどに政府がまとめる農業の改革案に盛り込む方向だ。 農業従事者らの意見を聴く埼玉県蓮田市の会合で表明した。篠原副大臣は、「国が個人にお金を出すという農業の助成はこれまでなかった。新規参入には農機具の購入などお金がかかるので、そういう政策を導入したい」と述べた。 具体的な制度設計は今後詰めるが、フランスでは就農支援として、5年以上の従事を条件に400万円を助成しており、「5年間で計400万〜500万円」を軸に検討される見通し。 また、この日午前開かれた政府の「食と農林漁業の再生実現会議」幹事会では、菅直人首相も「日本の農業自体が抱えている典型的な問題」として従事者の平均年齢が約66歳と高齢な
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政府の行政刷新会議が農協からの金融や保険の分離を検討する見通しになった。規制・制度改革に関する分科会のワーキンググループが21日にも開く会合で確認する。独占禁止法の適用除外など特権のある農協を農産物の集荷販売など農業事業に専念させる抜本改革だが、多くの農協は農業の赤字を金融や保険で補っており反発は必至。閣議決定へのハードルは高い。 信用と呼ばれる金融、共済と呼ばれる保険の事業は、ともに農協の収益の柱。農林水産省が2008年度末に全国770の総合農協を調べたところ経常利益は合計2159億円。金融が2013億円、保険が1734億円の黒字を生み、農業や営農指導といった事業の赤字を補っていた。 銀行や保険会社は、預金者保護や不公正な取引を防ぐ観点から、本業に関係ない業種を直接手がけることを禁じられているが、農村部における一般金融機関のサービスがかつて不十分だったことを背景に、農協は認められてき
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 政府は11月9日、環太平洋経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Economic Partnership Agreement)に参加すべく一歩踏み出す事を閣議決定した。これは最近アジアを中心として、全世界的に自由貿易協定(FTA: Free Trade Agreement)の動きが加速してきており、より包括的なシステムを構築する方向に進んでいるからである。 特に最近横浜市で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議:Asia Pacific Economic Cooperation)では貿易や投資の自由化に向けた共同声明を採択した。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP:Free Trade Area of Asia-Pacific)
◇伊東光晴(いとう・みつはる=京都大学名誉教授) 日本の農業はどうなるのか。国際競争にさらされた時、生き残ることはできるのか。その危惧感は、今も昔も変わらない。 並木正吉さんが『農村は変わる』(岩波新書)を書いたのは1960年であった。専業農家の大幅な減少を、後継者の数を予測し、これほど美事に将来を言いあてたものはない。兼業農家の激増である。 専業農家が耕作規模を拡大して所得をあげ、兼業農家が農外収入を加えることによって、豊かな生活を維持できるのであれば問題はない。事実、戦前をとっても、婿が地元の小学校の先生というような農家は豊かだった。こうした兼業農家は、ある意味で理想でもあった。米作の機械化はこの兼業を容易にした。 だが、兼業農家が売る農産物も、専業農家が売るものも、外国からの安い農産物におされ、市場から消えだしたならば、問題は別である。極端な場合を考えるならば、兼業農家は、自分たちが
1981年ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属後、エレクトロニクス、流通などの業界を担当。91年副編集長となり金融分野を担当。01年から04年5月末まで編集長を務める。主な著書に「ドキュメント住専崩壊」(共著)ほか。 辻広雅文 プリズム+one 政治・経済だけではなく、社会問題にいたるまで、辻広雅文が独自の視点で鋭く斬る。旬のテーマを徹底解説、注目の連載です。 バックナンバー一覧 「この国のかたち」を決める選択を、日本経済を構成するおよそ10%程度の既得権集団が左右していいものだろうか。 環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を巡って、農家と農家に関わる数多くの企業、団体、政治家、官僚が必死の抵抗を試みている。 日本の国内総生産(GDP)における農業の比率は、わずか1.5%に過ぎず、極めて小さい。ただし、関連産業が多数存在する。土木、建設、機械、肥料、飼料…それらすべてを合計す
番組冒頭から事業再仕分け、APECをとりあげてきたけさ(2010年11月16日)の「スーパーモーニング」は、赤江珠緒キャスターが「これも大きな問題です」と前置きして「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)を寄りあげた。 現在、生食用のトマトには3%、加工用トマトには21・3%の輸入関税がかけられているが、TPPに参加すると関税ゼロになるため、アメリカなどから安いトマトが大量に入ってきて、とりわけ加工用トマトは全部海外ものになると農水省は予想している。 「スパモニではトマト専門店社長に密着しました。そんななかで見えてくる日本の農業が抱える問題とは…」(赤江) 「農産物輸出」「農業技術供与」でTPP対策 レポーターの立花裕人がトマト専門会社「ブランド・ジャパン」をたずねた。都内・横浜でトマトの専門店・レストラン「セレブ・デ・トマト」を経営していて、トマト好きには知られた人気店だ。レストランでさ
ネギの汚れた部分をはぎ取る。すべてが手作業だ=京都市伏見区のこと京都 第1次産業(農林業)、2次産業(製造業)、3次産業(小売業)の性格をあわせ持つ「6次産業」が注目されている。農家が育てた作物を農協などに売るだけでなく、加工や消費者への販売まで自らやって利益を上げる手法だ。頭打ちの収入を少しでも伸ばそうと取り組む人が広がっており、加工を手がける生産者はこの5年で4割増えた。 京都市の農家が設立した農業生産法人「こと京都」(山田敏之社長)は、九条ねぎに、使いやすく刻むカットの手間を加えて成長した。12月には新工場を稼働させる。これまでは業務用だけだったが、スーパーなど消費者向けにも販路を広げる予定だ。 カットネギを始めたのは2000年。山田氏はその6年前にアパレルの営業マンから実家の農業を継いだが、休みなく働いても収入は年400万円程度。売り上げ増を狙って作付けを九条ねぎに絞り、さら
1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。 相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記 国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす! バックナンバー一覧 周囲の動きや雰囲気に影響され、冷静さを欠いたまま決断してしまうことがある。例えば、顔見知りの人たちが駆け込むバスに「乗り遅れたら大変だ!」と、行き先も確認せずに飛び乗ってしまうことなどだ。バスが動き出し、暫く
9日の衆院予算委員会で自民党が「アジア太平洋経済協力会議(APEC)横浜」をめぐる政府・与党の対応について厳しい批判を展開した。環太平洋連携協定(TPP)に関しては「いきなりエベレスト登山へ挑戦するようなもの」(赤澤亮正氏)などと政府の姿勢をただした。 自民はAPEC誘致を担った旧政権与党として「重要な国際会議を前に諸外国への利敵行為は避けたい」(同党幹部)とのスタンス。しかし会議の焦点となるTPPをめぐり、事務レベル会合への出席を中国が見送る方針であることが判明するなど「情報収集力の欠如をはじめとした政府の外交面の不手際が見過ごせなくなった」(同)として、追及に踏み出した。 今の政府の姿勢を「玉砕外交」と断じた赤澤氏は、通商交渉を登山に例え「TPPはエベレスト。高山の登山経験を持つ国が入念な準備や装備で臨む」と説明。「今の日本は登山の準備や装備や経験も有しないまま、最高峰に挑もうとし
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