東日本大震災をめぐり、「民話の里」として知られる岩手県遠野市の後方支援活動が注目を集めている。津波被害を受けた沿岸部の都市は内陸の県庁所在地・盛岡市から離れており、こまめな物資の搬送や人の移動に時間がかかるためだ。遠野市は沿岸部まで車で約1時間という立地条件をいかし、多くの支援組織の拠点や物資の中継基地にもなっているが、市はこうした役割を数年前から想定して準備を重ねてきた。(河居貴司)東大も拠点…支援“総合窓口”に 「大きな地震があれば津波が起こる。当然、内陸にある遠野市が後方支援の役割を担うと想定していた」と遠野市の及川増徳副市長は語る。 天狗(てんぐ)やカッパ、座敷わらしなどを題材にした数々の伝承が語り継がれ、それらを集めた民俗学者、柳田国男の「遠野物語」で知られる民話の里・遠野市。甚大な津波被害に見舞われた県内の沿岸部まで50キロ以内に位置し、車で約1時間、ヘリコプターで約15分とい