道路特定財源の一般財源化の議論をしている中で、数多くの方からこんなことを聞かれた。「道路特定財源を一般財源化すると、真に必要な道路以外は造らないことになる。そうなると、道路工事が減ってしまって、土木事業者の雇用が不安定になり、地域経済が停滞してしまうのでないか」という質問である。確かに、地方は高度経済成長期以降、公共事業、特に土木業に支えられてきた。地方での就職先は、役所と建設業で占められていた。その地方の基幹的な産業が停滞すると、経済が悪化するという意見だ。ちょっと聞くと、その通りだと思うかもしれない。しかし、このような発想が危険なのだと私は思う。 道路が必要であれば、道路工事も必要となり、土木業は潤う。しかし、必要性の小さいところに無理矢理需要を作ってもすぐに息切れしてしまうはずだ。それよりも、本当に需要の大きい産業に人材を投資すべきである。例えば、IT産業や福祉サービスなどである。特