テーマはピンボール。ほとんどの読者がさっぱり知らないであろうマイナーゲームを主題としつつ、読み終わる頃には「そのゲームがやりたい」という気持ちにまで持って行ってくれる漫画です。それだけでも、本作の表現力は相当なものなのだと思います。 目的なき目的に没頭すること 本作は、無意味だけど楽しいことに熱中すること、の価値を繰り返し訴える漫画です。本作のヒロイン・山田さんにとって、ピンボールは何かを達成するための手段ではありません。彼女がピンボールを楽しむことはそれ自体が目的となっていて、これは一次的な動機だと言えます。 最初はピンボールをヒロインと付き合うための「手段」としていた主人公も、やがてはピンボール以外には何もない、一対一の世界に没頭していきます。「何かのために」ではなく「それ自体を楽しむこと」、その価値を描いたのが本作なのだと思います。こういった姿は非常に眩しいもので、そういえばいつの間