テロ・紛争解決の専門家で実務家でもある永井陽右さんが「共感」の問題点を考察する連載です。過去6回は思想家や哲学者ら各界の知識人を招き、多角的に議論を深めてきました。識者の意見に触れ、永井さんの思考にも変化が生じます――。 弱者との向き合い方も「人それぞれ」 これまで分野の異なる6人の方々と対談させていただき、「共感」について様々な視点から検討を重ねてきた。それらを通じて私が考えたことは大きく二つある。 一つは、本連載の第1回から第5回で指摘したとおり、共感にはポジティブな面だけでなくネガティブな面が多数存在しているということだ。人は何かに強く共感したとき、視野が狭まりやすい。その延長線上に、共感できない相手に対する攻撃や排除といった暴力が顔を覗(のぞ)かせることもある。 私が共感を巡る大きな問題と考えているのが、この排除に近い行為だ。社会的支援を必要とする弱い立場の人が、世間から共感されな
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