薬剤師の渡邊輝さん(40)の両親は浅草でラーメン店を経営している。子供のころから間近で見ていた親は、肉体労働に疲れ、病気がちだった。だから、何かあったら、自分が助けるしかない。そのために薬剤師か医者になりたい。渡邊さんは中学生の頃の、そうした純粋な思いを胸に、社会に旅立ち、薬剤師の資格を得て順天堂大学に勤務するようになった。 【画像】最も売れなかった薬局が白熱する「カフェ」に しかし、いざ勤務してみると、患者との付き合いは患者の病気が治ったら終わり。あとはひたすら調剤する日々。薬剤師として、もっと患者を深く知り、向き合っていきたい。その思いは月日を追うごとに強くなり、迎えた2008年。東京・中野に警察病院が移転すると知り、これは、薬局を設立し長く患者と向き合うチャンス、と捉え、貯金1500万円を元手に警察病院前に「なごみ薬局」を設立した。 7軒並ぶ薬局のいちばん端に位置した「なごみ薬局」。