ある日の食卓。アルコール性の認知症になってから、料理は私が担当し、朝のうちに用意しておいた夕食を一緒に食べる(photo:朝日新聞社・永田豊隆) およそ20年、朝日新聞記者・永田豊隆氏は、精神疾患を抱えた妻の介護と仕事の両立に悩み続けた。日本は世界的にみて精神科病床数が多いが、精神障害者が地域で暮らす支えが十分ではない。家族にのしかかる負担について、介護当事者である永田氏が綴る。AERA 2022年6月13日号から。(前後編の前編) 【写真】主治医に勧められて妻がつけていた飲酒の記録がこちら * * * 大量の食べ吐きや飲酒、自傷行為、極端な感情の浮き沈み。精神障害を抱えた妻の闘病をたどる『妻はサバイバー』を4月に出版した。これまでの経過をありのままに書いたところ、「壮絶だ」「言葉にならない」という反響が多く寄せられている。 妻の症状を知ったのは、20年前にさかのぼる。 結婚から3年た