サラリーマンにデメリットだけの法案 私事で恐縮であるが、このほど『2016年残業代がゼロになる』(光文社)という本を緊急出版した。安倍政権が導入しようとしている「残業代ゼロ制度」があまりにも経営者に有利で、働くサラリーマンにとってはメリットどころか、デメリットしかもたらさない制度であるからだ。 第1次安倍政権下(2007年)で浮上した日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の適用除外制度、以下エグゼンプション)は世論の反発で廃案になった。当時は大新聞のほとんどが法案を批判し、反対世論形成のリード役を果たした。だが、今回は朝日、毎日、東京の3紙だけが反対色を鮮明に打ち出しているが、他紙は賛成もしくは中立を決め込んでいる。そのため世論は今ひとつ盛り上がりにかけ、エグゼンプション自体に関心がない人が多い(労働組合の連合調査では内容を知らない人が85%)。 このままではサラリーマンに不利益